中国EV「蔚来汽車」、赤字拡大で競争脱落の危機 2024年の純損失4609億円、流動性リスクが浮上

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蔚来汽車はEVのデザインや技術の独創性に定評があるが、業績面ではライバルに差を広げられている。写真は3月末に納車を開始した大型高級セダン「ET9」(同社ウェブサイトより)

中国の新興EV(電気自動車)メーカーの蔚来汽車(NIO)が、赤字拡大を止められず競争脱落の危機に直面している。

同社が3月21日に発表した2024年10~12月期の四半期決算および同年の通期決算によれば、10~12月期は四半期ベースで過去最大の71億1000万元(約1463億円)もの純損失を計上。赤字額は前年同期比3割以上も膨張した。

さらに、2024年通期の純損失は224億元(約4609億円)に上り、2年連続で200億元(約4115億円)を超える最終赤字を記録した。

決算報告書によれば、蔚来汽車の2024年末時点の流動資産(短期間で現金化できる資産)は618億8000万元(約1兆2733億円)、流動負債は623億1000万元(約1兆2821億円)となっている。後者が前者を上回っており、同社が短期的な流動性リスクを抱えていることを示唆する。

販売実績は競合に見劣り

蔚来汽車は10~12月期に前年同期比45.4%増の7万2700台、通期では前年比38.7%増の22万1900台のEVを販売した。

一見好調に見えるが、新興メーカーのライバルと比較すると見劣りする。例えば、理想汽車(リ・オート)の2024年の販売台数は50万500台と蔚来汽車の2倍を超えた。零跑汽車(リープモーター)は29万3700台と前年の2倍余りを販売し、蔚来汽車を追い抜いた。

小鵬汽車(シャオペン)は2024年前半の販売低迷が響き、年間販売台数は19万100台と蔚来汽車に及ばなかった。しかし年後半からの復調を受け、10~12月期は蔚来汽車を上回る9万1500台を販売した。

蔚来汽車は高級志向の第1ブランド「蔚来(NIO)」に加えて、2024年9月から相対的に廉価な第2ブランド「楽道(ONVO)」の展開を開始。マルチブランド戦略による販売台数の底上げを目指していた。

だが、楽道ブランドの第1号モデル「L60」の販売実績は2024年12月を除いて月間1万台未満にとどまり、「2025年3月までに月販2万台超」という目標の達成は極めて困難とみられる。

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