もし、破綻まで行かずに、リストラの場合であっても、個々の社員は、もちろん自分が対象になることを心配しなければならないし、生き残るとしても、職場の雰囲気は大いに悪化する。
人間は環境を変えたくない生き物だから、「しばらく様子を見よう」と思う人が多いかも知れない。しかし、「様子を見る」ことの機会コストを考えるべきだ。
一般に退職金など制度は、自己都合で退職すると不利で、会社都合の場合に有利なので、踏ん切りが付きにくい場合があるが、再就職の不確実性のストレスや会社の状況悪化を心配するストレスを思うなら、満足できる転職先がある人は、転職市場の需給が悪化する前に転職を決めておく方が、トータルではいい場合が多いように思う。いずれの企業にあっても、かつて、山一證券の野澤正平社長が言ったように「社員は悪くない」場合が多いのだろうから、個々の社員の方々には幸せになって欲しい。
支援期待がある「腐った企業」の株価は割高
次に、投資家が何をすべきかに目を転じよう。
一般に、企業の業績が悪化することはよくあり、「危機」はしばしば訪れることがある。その場合、企業が回復可能なのか、回復不能なのかは、「運」が少なからず作用する問題だが、情報をまだ隠している会社、経営者・経営幹部が生き残りたがっている会社は、概ね「腐っている」組織なので、再生の確率が大幅に低下する。個々の会社の株式に対する論評は控えるが、参考にして欲しい。
一方、株式市場は、「腐った魚にも、腐ったなりの価値を評価して値が付くセリが行われる魚市場」のような大らかな市場である。「腐りすぎていて、関わりたくない」という参加者が多い場合にはお得な値段が付くかも知れないので、「腐った会社は売れ!」と一口には言いにくい。
あえて判断のコツをいうなら、「国が助ける」、「グループが支援する」という期待が世間にあるように見える時の「腐った企業」は、企業の実態と将来の可能性に対して、割高な株価になっている場合が多い。
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