新日鐵住金の厳しい船出 旧2社で純損失3104億円

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新日鐵住金は下期(12年10月~13年3月)の見通しについて、「上期の両社合算の連結経常利益(約300億円)と同レベルの収益は確保したい」との見通しを示した。

詳細な通期業績予想については、「世界経済は見通しがつけがたく、停滞感が漂っている。超円高も続き、中国関連ビジネスの生産活動へ影響がどの程度続くのかも見えにくい。年度の見通しはきわめて難しい作業」(本部文雄副社長=写真左=)として、開示を見送った。

新日鐵住金の13年3月期の通期業績は、存続会社である新日鉄の上期と、新会社の下期を合算する。下期の経常利益を300億円とした場合、新会社の通期経常利益は495億円となる計算である。

厳しさを増す事業環境

今後は、造船や産業機械向けの需要低迷が予想されるほか、自動車向けもエコカー補助金効果の反動減や、中国での日本車販売不振などを受け、減少が懸念される。発足当時よりも、新会社の事業環境は厳しさを増している。

このため、新会社は経営統合後3年をメドに年1500億円の統合効果を実現するとしていた目標を、年2000億円に引き上げる。重複する資産の売却などによって3000億円規模の資産を圧縮し、財務体質の改善もはかる方針だ。

本部文雄副社長は、同日開いた会見で、統合効果目標の上積みについて、「鉄鋼業界のおかれている環境が非常に大きく変化しているという認識。あらゆる意味で構造改革を進めていかなければならない」「いろいろ検討した結果、投資効果なども含めて、これとこれをやれば(目標を達成)できる、という手触りを得つつある」とコメント。新会社としての中期経営計画は、「2012年内には公表したい」と述べた。

小河 眞与 東洋経済 記者
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