「ガリガリ君」値上げ後も販売数10%増の凄み 25年ぶりに60円から70円に値上げしたが…
ただ、ガリガリ君の60円死守については「子供たちに対する未来への投資」(値上げに関するホームページ上での説明)であり、この4月より社長から会長に就任した井上秀樹氏の“哲学”とも呼べるものであった。
7~8年前から議論され尽くしてきたとはいえ、これを変えることは社としてもつらい選択だった。その思いは社員一同がそろって頭を下げるCMに表れている。
世間の厳しい反応を覚悟していた
では、今回の値上げは、売り上げにはどの程度、影響したのだろうか。社として事前に予想していたのは、「値上げに対する厳しい反応」であり、94%程度に落ちるとみていた。しかし、案に相違して「店頭から入る暫定のデータだが、4月は本数にして前年比10%アップした」(萩原氏)。
もちろん、インパクトの強いCMや広告をはじめとする宣伝効果も、売り上げアップに大いに貢献しているだろう。何しろ動画は一躍話題になって、ネットで出回り、「値上げに関する取材申し込みには、すべてに対応した」(萩原氏)そうで、テレビや雑誌、ウェブサイトなど、有名マスコミ媒体のほとんどすべての取材を受けたという。これをよい機会に、社としての姿勢があらためて全国の消費者に伝わり、「これまでよく頑張った」という好意的な目で受け入れられたわけだ。
そんな赤城乳業では4月25日にガリガリ君の新商品、「キウイ」「ライチ」などを発売。果汁を使用したフルーティな味わいと清涼感が特徴の2品だ。また、すでに販売終了してしまったが、3月に発売した「ガリガリ君リッチ 桜もち」(130円)は、桜の微妙な風味を加えたかき氷に、もちっとした食感のもちソースを閉じ込めて、桜もちを再現。大ヒットとなった。
そのほか大人の女性をターゲットとし、果汁を高配合(グレープフルーツ味で55%)した「大人のガリガリ君」(90円)、有名パティスリー店とコラボレーションした「シュプールモンシェール」(130円)など、素材にこだわった高価格帯商品も好調だ。
しかし、「今年はソーダ味のガリガリ君を積極的に食べてほしいというのがメーカーとしての気持ち」(萩原氏)とのこと。ガリガリ君の原点とも言えるフレーバーだからこそ、社員としても思い入れが深いのだろう。
ところで、国民はどれくらいアイスを食べているのだろうか。
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