ジャガー初のSUV「Fペース」に乗ってみた アルミボディで高出力、快適性も申し分なし
いずれにしても、実際にアクセルペダルを踏み込んでみれば、”ヘビー”という感覚を一切抱くことがないのは事実。何しろ、0-100km/h加速をわずかに5.5秒でこなしてしまうのだから、そんな印象も当然なのである。
同様に、前述ボディのワイドさを忘れさせる自在なハンドリング感覚も見事なもの。だが、さらに驚愕したのはそのコンフォート性能の素晴らしさだった。
さすがに、22インチという巨大なシューズを履くこともあってか、路面凹凸への当たり感はややかためであるものの、ばね下の動きはむしろ軽快と言う表現が当てはまる。加えて、ロードノイズが極端に小さいことも含めて静粛性が素晴らしく、特にクルージングシーンではフラッグシップセダンであるXJもかくや!と思えるほどの、見事な快適性を味わわせてくれたのだ。
そうしたトップグレードから、「価格面も含めると、日本ではこちらが販売の主流になるのではないか?」とも思えるディーゼル・モデルへと乗り換えると、こちらもこちらで、なかなか見どころの多い仕上がりの持ち主であることを教えられた。
テストドライブをしたのはディーゼル・モデル中のトップグレード「Rスポーツ」で、本来は19インチのシューズを20インチへと履き替えた仕様。前出ファーストエディションに比べると多少揺すられ感が強めとも思えたが、それでも絶対的には上々のフラット感がやはり心地良い。
380psを発するファーストエディションの”強心臓”に比べれば、最高出力は「200psも低い」(!)ゆえ、動力性能にはたいした期待が持てないかと予想をすればさにあらず。
”インジニウム”の愛称が与えられた最新設計のディーゼル・ユニットは、わずかに1750rpmという回転数から430Nmという最大トルクを発揮。実は、そうした値は前出V6ガソリン・ユニットが4500rpmになってようやく発する450Nmという値と、さして変わらないものであったりするのである。
結果、「ちょっとだけトルク感が弱いかな……」と思わされる発進直後の極低回転域を除いては、日常シーンでの力強さはこちらも十分な満足レベル。もちろんそこでは、タイトな駆動力の伝達感とスムーズな変速を同居させ、有効なトルクバンドを巧みに探り出てくれる出来の良い8段ATも、大いに貢献していることが実感出来るものだ。
今振り返れば、歴史と伝統を重んじる余り、変革を恐れていたようにも思えるのが、2000年代前半までのジャガー車であったもの。そうした呪縛を吹き飛ばし、この先の新たなる時代の創生を象徴するのが、新たなるカテゴリーへの挑戦者であるこのFペースと言っても良いのかも知れない。
(文:河村康彦)
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