1ドル一時106円台突入、5月は波乱相場へ 外国人もついに日本株を「見放した」?

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日銀会合というイビッグベントをネガティブ・サプライズで通過した東京市場に、外国人投資家が戻ってくるチャンスはあるだろうか?

市場では、5月26-27日の伊勢志摩サミット開催の前に策定されると見られる新しい成長戦略や、消費増税の先送りの決定など、政府主導の「政策」を期待する声がある。ただ、これらは度々市場に伝わっていることから、ほぼ織り込まれていると言えよう。また、これまでの成長戦略に対する外国人投資家の評価は手厳しいことで、政府の「名目GDP600兆円目標」を材料視するような、地合いは想像しにくい。

仮想通貨の法案が正式に成立となれば個人投資家の商いも少しは期待できそうだが、外国人投資家の日本株買い意欲を刺激するような展開とはなりにくそうだ。日本株を押し上げる最大の推進力が乗ってこないとなれば、5月は個別物色中心の「局地戦」の準備をしておいたほうが良さそうだ。

もっとも、7月に参議院選挙を控えていることなどを考慮すると、安倍政権が日本株を浮揚させるような積極的な施策を発表する可能性はまだ残されている。また、新しい成長戦略に外国人投資家が関心を示している「大胆な規制緩和」を盛り込むと、上記のストーリーは逆となる可能性もある。

米国株の行方とパナマ文書の追加公開にも要警戒

なお、足元の懸念材料として米国株の動向にもふれておきたい。NYダウは、昨年と今年につけた1万5500ドルをボトムに、2015年5月19日の史上最高値の18351.36ドルの更新を意識した格好となっている。だが、4月20日に18167.63ドルをつけた後は上値が重くなっている。

例えば、テクニカル分析でよく知られているMACD(マックディー、MACDとそれを単純移動平均化したシグナルを用い、相場の周期とタイミングを捉える指標)で確認すると、NYダウが年初来高値を更新しているにもかかわわらず、MACDは3月20日辺りをピークに右肩下がりとなっている。つまり、いわゆる「逆行現象」(マイナスのダイバージェンス、調整局面入りを示唆)が発生している。日々のベースではナスダック指数とも高安まちまちとなっていることも考慮すると、先行きは危うい状況と言えよう。

また、「パナマ文書」も要注意だ。5月10日(日本時間3時)に追加で20万社超の法人情報を国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)のホームページ上で公開する予定としている。200を超す国・地域の個人が関わっているとの観測から、これまで以上のインパクトが発生する可能性もあることから、米国株の動向と並び注意したい。

田代 昌之 マーケットアナリスト

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たしろ まさゆき / Masayuki Tashiro

北海道出身。中央大学文学部史学科日本史学科卒業。新光証券(現みずほ証券)、シティバンクなどを経てフィスコに入社。先物・オプション、現物株、全体相場や指数の動向を分析し、クイック、ブルームバーグなど各ベンダーへの情報提供のほか、YAHOOファイナンスなどへのコメント提供を経験。経済誌への寄稿も多数。好きな言葉は「政策と需給」。ボラティリティに関する論文でIFTA国際検定テクニカルアナリスト3次資格(MFTA)を取得。2018年にコンプライアンス部長に就任。フィスコグループで仮想通貨事業を手掛ける株式会社フィスコデジタルアセットグループの取締役も務める。

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