「再生へ」自己防衛本能むき出しの東電 ”ゾンビ企業化”を彷彿

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今回の中計で東電の組織防衛本能がむき出しに表れたのが、「社内カンパニー制」の導入だろう。将来の持株会社制を視野に、「燃料・火力発電事業」「送配電事業」「電力小売り事業」の3つの社内カンパニーを設立するという。こうした社内分離方式によって発送電分離を形式的に達成しようというものだ。「燃料・火力事業のトップランナー」「世界一の次世代ネットワークを実現するネットワークサービスインテグレータ」を目指すとまでぶち上げている。

しかし、東電の発送電分離は、発電部門や送配電部門の第三者への売却を通じた方法もある。発電所は必ずしも東電が運営すべきとは限らない。安定供給義務、運営管理者資格など一定の制約条件は必要としても、たとえば東京ガスやソフトバンク、その他の新電力会社などが地域ごとの発電所を買収して運営し、送配電会社へ供給するといった形も考えられる。発電所の売却資金は東電を通じ除染など復興費用に充当できる。東電としては今はまず「賠償・除染・廃炉業務のトップランナー」としての重大な役割が求められている。

今回の中計はあくまで、原発事故を起こした事業会社による「願望」にすぎない。国家管理下にある東電の今後の組織のあり方は、国民全体で冷静かつ真剣に考えていく必要があろう。

(撮影:今井 康一)

中村 稔 東洋経済 編集委員
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