「桜押し」は、ひとりよがり観光戦略の象徴だ

アトキンソン氏が考える正しい戦略とは?

調査をすると「春」以外の季節でも、PRサイトや広告の中で「桜」が占める面積は、やはり非常に大きいものとなっています。外国人へ向けて「日本の魅力」を発信しようと考えたとき、とにもかくにも「桜」を前面に押し出しています。桜は日本を代表する美のひとつで、私も「桜の美しさ」を否定しているわけではありません。ですがこれには、日本と「桜」では新鮮味がないことを別にしても、3つの問題があると考えています。

理由1:桜は「運」に左右されすぎる

まずひとつ目の大きな理由として、桜は「運に左右される観光資源」だという問題があります。

JNTOのバナーにもあった平城宮跡を例にして説明しましょう。ここには約120本の桜があります。日本気象協会のホームページの開花予想によれば、「4月上旬から中旬」となっています。そのタイミングで現地を訪れた外国人観光客は、JNTOが発信したとおりの美しい日本の風景を見ることができたでしょう。

しかし、少し前にやってきた観光客はまだ見られませんし、見頃が過ぎた頃にやってきた観光客は、もはや散った後かもしれません。みなさんが海外旅行をすることを考えていただければわかるはずです。異国の地で花が咲くタイミングに合わせて旅行の計画を立てることは、難しいはずです。

つまり、外国人観光客が、JNTOが発信しているような「美しい風景」が見られるかどうかというのは「運任せ」なのです。

しかたないだろうと思うかもしれませんが、それは「国内の観光客」の発想です。日本人ならば、観光地で桜が咲いていなくとも、「運がない、来年また来よう」ですむ話かもしれませんが、数十万の費用を費やしてやってくる外国人は、そうは思わないでしょう。

日本人は「桜」が好きな人の比率が非常に高いわけですが、その「桜」をかなり昔から発信しているにもかかわらず、10年前には400万人の観光客しか訪れていなかったことを考えると、日本人からすれば大きな魅力であっても、外国人にとってどこまで魅力的かは不明です。

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