日銀総裁が漏らした不満 高まる期待と増す重圧
未踏の領域に入り込んでいるとすれば、金融政策の効果と副作用の見極めはますます難しくなる。しかし、政局が混迷し有力な政策を打ち出せない中、日銀に対する緩和の注文が膨らみ続ける状況は変わりそうにない。景気減速となればなおさら"期待”が高まる。任期(13年4月)が迫る中、白川総裁の重圧は増す一方といえそうだ。
以下は30日の会見での主なやり取り。
--2カ月連続の緩和となった。その大きな理由は?
やはり大きかったのは海外経済の減速が強まったことだ。
--今回は追加緩和の決定内容の公表までに時間がかかった。
それだけ真剣な議論を行ったということ。市場が開いている時間で予測可能な時間に発表したいという気持ちはある。しかし、発表する時間を先に決めて、本来行うべき議論を行わずに決めるのは、中央銀行として軽率だ。
--基金の買い入れ期限は13年末だが、14年以降の方針は。
日銀の方針は消費者物価の上昇率1%が見通せるまで、実質的なゼロ金融政策と資産買入による強力な金融緩和を続けていく。13年末を越えて14年以降もそうした大きな方針のもとに運営していく。
--物価上昇率1%について、「14年度には着実に近付いていくとみられる」と従来とは表現を変更した。15年度に達成できる見通しだと考えていいのか。
15年度は今回の見通しには含まれていない。各委員の頭の中のイメージはあるかと思うが、3年後について確度の高い見通しを持つことのほうがやや不自然な感じがする。当然、先になればなるほど不確実性は高まる。