日銀総裁が漏らした不満 高まる期待と増す重圧 

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

 

--上限を決めた成長基盤の資金供給でなく、なぜ最初から無制限の貸出支援基金をやらなかったのか。

成長基盤融資と今回の貸出支援は補完的な関係にあると考えている。いまの金融環境のいっそうの活用を促す点では共通しているが、スキームの細部で若干異なる部分もある。成長基盤融資は民間金融機関の投融資の内容を個別に確認したうえで、低利かつ長期の資金を提供してきた。貸出増加の支援をする今回の資金供給は、金融機関の希望に応じて全額を資金供給する。一部分で重なる面はあるが、金融緩和の実体経済への波及をあらゆる視点から進めることが重要だと考えている。

--貸出支援の枠組みで、銀行が預金や市場調達で資金を集めて貸し出しを行う形が変わるのではないか。

緩和的な金融状態になった際にもっとも有効な施策は、規制緩和をはじめとして企業が投資をすることが魅力的だと思わせるような環境づくりだ。しかし、それはすべて政府の責任だとはいわず、日銀としてできることは何かと考えた結果だ。
貸出増加の全額もしくは一定割合を日銀がファイナンスするのは、90年代後半に日銀が同じような制度を行った。ごく最近もイングランド銀行が同じようなことを7月から始めている。オーソドックスな方法ではないが、経済に対してどのように働き掛けていくかを考えて知恵を出した。
先程からの質問を聞いていると、一方でこれをやっても効果はないんではないかという問いと、一方で、物価が上がらないからもっと何かをやるべきではないのかという、両方の相反する問いを受けているように思う。
繰り返しになるが、この問題は誰がひとりが何かをやれば状況が是正されるものではない。何より民間企業のチャレンジが必要で、それをサポートする民間金融機関の貸出が必要だ。そうした環境をつくる政府の努力も大事で、日銀による強力な金融緩和もある。

関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事