日銀総裁が漏らした不満 高まる期待と増す重圧
--1%の物価上昇率が「見通せるまで」という定義は。展望リポートにある1%に着実に近付いていくという状態は、見通せる状態といえるのか。
「着実に近付いていく」というのは、1%が見通せるという判断ではない。物価の先行きを決めるのは需給ギャップや予想インフレ率などであり、そうした要素を毎回の会合で入念に点検して行きたい。
--14年度に1%に届かない見通しだが、総裁の任期中(13年4月8日まで)にデフレ脱却が見通せる水準に至らないことについてどう考えるか。
デフレは物価が継続的に下落した状態。13年度はマイナスではなく、プラス0.4%、14年はプラス0.8%で見ている。物価が継続的に下落する状態からは脱している。デフレをそうした形で定義するのであれば、プラスになった状態はデフレではない。ただ、われわれは1%の上昇が見通せるまで強力な金融緩和を続ける。
--新しく設けた貸出支援制度にどんな効果があるのか。
金融機関の積極的な行動と企業や家計の前向きな資金需要の増加を促すという観点がある。円でも外貨でも希望すれば全額で長期、固定でファイナンスする。最終的に利用するしないの判断はあくまで民間だが、こうした枠組みがあることを日銀としてしっかり説明していきたい。
すでに十分に資金が潤沢にあり、金融機関としておカネが必要ないと感じる場合には、日銀に対する資金供給の申込が減る。それは金融機関の判断だ。少なくとも、こうした制度があることで貸出を行いたいというのであれば使ってほしい。