日銀黒田総裁は金融緩和を実施するのか 今週は日米で重要な金融政策決定会合
一方、これまで企業業績見通しに強気一辺倒だった一部の大手証券会社も、さすがに強気見通しを維持できなくなっている。しかし、これらもすべてドル円次第である。115円以上になれば、減益幅は縮小する可能性がある。そう考えると、現在の堅調に見える株価水準の正当性を主張することができるだろう。この点からも、今後の為替動向が株価を大きく揺るがすことだけは間違いないだろう。
この点からも、26・27日の米連邦公開市場委員会(FOMC)と27・28日の日銀金融政策決定会合はきわめて重要になりそうだ。
FOMCでは利上げは見送られる公算だが、市場の関心は今後の利上げのタイミングにある。年1回で終了するのか、それとも従来の市場予想通り2回実施されるのか。雇用情勢はすでに利上げを正当化できる状況にある。あとはインフレ状況だけである。
原油相場が堅調に推移し始めているが、今後も上昇基調が続けば、インフレ率は必然的に上昇し、利上げ実施への圧力が強まることになる。現在は米国債利回りが上昇気味だが、これが将来のインフレ上昇を織り込んでいるとすれば、要注意だ。無論、インフレ率の急伸は直接的なドル円の下落要因になる。
一方、ここで日銀がどのような追加策を講じるのかが、市場の最大の関心事になっている。28日までに様々な報道や市場の反応が見られるだろうが、現時点で追加策の内容を推測しても仕方がない。ただし、現状打破のための「ラストチャンス」であることだけは確かである。
現状の為替水準では、日経平均は上げすぎ
マーケットでは、知らないうちに価格が上がり、あとで材料が出てくるということがままある。特に売り込まれ過ぎた市場では、こうしたことが見られるケースが多いようだ。そうした雰囲気を作り出すのに腐心してきたのが安倍政権であり、黒田日銀総裁である。
しかし、日銀の黒田総裁らは、当然ながら知見がある人たちだ。現在の株価水準が割高であることを理解してないはずがない。そうであれば、半ば強引にでも円安・ドル高に持っていくことで、企業業績の悪化を防ぐことを考えることは十分にあり得る。
ただし、為替水準については、米国がどの程度まで許容してくれるのか不明だ。いずれにしても、日本株は一段と円安にならない限り、構造的に上昇しづらい。この構造を変革させるような政策が出てくれば別だが、そうでなければ、これまで通り為替と株価の水準を比較しながら、割高か割安かを確認すればよいだろう。
2012年12月に始まったアベノミクス相場の開始以降のドル円と日経平均の高い相関性から計算すると、ドル円が111円水準の日経平均株価の理論値は1万6650円、115円でようやく1万7600円である。
つまり、現状では、ドル円の水準に対して、日経平均が上げすぎていることになる。これを基準に、28日に発表される政策とその後の市場動向を見ていけばよいはずだ。
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