中台韓勢に打ち勝つ、マザーマシンの突破口

 

「工作機械メーカーにとって、アフターサービスは製品を買い続けてもらう「営業手段」でしかなかった。おカネに変えるという価値観がなかった。来月のJIMTOFでは、通信ネットワークを使った技術者向けのeラーニングや、離れた場所からでもメンテナンスや機械画面の操作ができるサービスも提案し、需要を掘り起こしたい」

同社が育成を目指す「付加価値」を最大限に生かすためには、アジアとの価格競争や円高にも強い生産体制を築く必要がある。そこで乗り出したのが世界的な生産拠点の再編だ。要素部品の製造を行っていた白河事業所(福島県)の閉鎖を8月に決定。それを本社工場に移管し、国内製造拠点を3つから2つに集約した。海外は中国、タイに続き、昨年フィリピン工場が稼働し、国内外5拠点、月産650台体制が整った。

「もうシチズンだけでは何もできない。工作機械メーカーも他社との連携が不可欠な時代になってきた。お仲間同士の関係を良くすることにエネルギーを注いで、内向きでい続けるのは得策じゃない」

今、最も脅威ともいえるアジアメーカーとの連携にもためらいはない。台湾の工作機械大手、友嘉実業集団や他の日本メーカーとの合弁会社を8月に設立。汎用品を中心とした部品調達を始める。

「調達だけでなく、アフターサービスや生産委託などあらゆる面で協力していきたい。鴻海のようなEMSと同様に、台湾の工作機械メーカーは自らのブランドで勝負しようと言うよりも、OEM(相手先ブランドによる生産)でも何でもやりますよというスタンス。そのフットワークの軽さを生かしたい。それに、中国市場を深耕していくためにも現地にサービス拠点を70近く持つ友嘉との提携は必要だった。われわれも彼らに質の高いサービスノウハウを提供できる。補完性があるということだ」

杉本社長が繰り返し口にしたのは「どの市場に狙いを定め、武器となる付加価値をいかに育てるか」という言葉。マーケットによって最適な協業相手を見つけながら、先行き不透明な工作機械業界での生き残りの道を探っている。

(中川 雅博 =東洋経済オンライン)

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