ナンバー2を軽視する組織はうまくいかない ヤクルト真中監督が語る、勝つチームの秘訣

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提言をすることや、自分の意見を述べるということに関しては、何も監督に対してだけではありません。誰に対してでも、どんな状況であっても、自分の意見を言うことは、非常に大切です。私はコーチ時代、当時の小川淳司監督によくいろんなことを提言していました。

仮に監督に直接言えないようときは、佐藤真一コーチに言っていました。言うことによって何が起きるかというと、もちろん、その意見を取り入れてもらいたいのですが、いろんな人に自分の考えが共有されやすいというメリットがあります。いつも発言することで、「真中はこう考えている」ということが、他のコーチやスタッフに理解されやすいのです。

そう考えると、すべての場は自分の考えをアピールする場になります。私は、ヤクルトの球団関係者の役員を交えての会議であっても、必ず発言します。自分は何を考えているかをアピールする絶好の舞台なのに、何も発言しないのはもったいないと思うんです。何より、発言しない人間と認識されるより、発言する人間と認識された方が、相手の記憶にも残りやすいです。

「すべてがアピールの場」が生きてくる

「すべてがアピールの場である」というのは、さまざまなところで生きてきます。例えば、二軍のコーチにレポートを提出してもらうのですが、それにも二つの意図があります。ひとつは、二軍選手の現状の報告。もうひとつは、自分のコーチとしての能力のアピールです。

「すべてがアピールの場」だ

その能力とは、担当している選手の成長ぶりや、現状抱えている課題など、指導力、観察力、分析力などのことで、それらをアピールするチャンスです。組織にどれだけ貢献できるかは、主張だったり考えだったりを口にして、周りの人間を巻き込んでいく影響力が鍵を握っていると思うんです。そして監督としては、全員がいつでも意見を言えるような場をつくることに対して常に工夫をしています。

私もよく「あのさ、お前の意見は絶対に参考にしないんだけど、このオーダーどう思う?」と冗談を交えながらコーチに話しかけたりします。ちょっとした工夫ですが、そんな風に心がけながら、皆の意見を吸い上げようと意識していますね。

2015シーズンでセ・リーグを制覇したヤクルトは、そうしたコーチ陣の結束力のおかげで、「勝つ」という意思がチーム全体に浸透していました。そしてそれは2016シーズンにおいても、どのチームにも負けていないと思っています。

また、チームとして戦うという点に関しても、コーチ陣は非常に高い意識を持って取り組んでいます。

試合のときは、コーチ陣の全員が相手ベンチの動向をくまなく観察しています。例えば、野手出身の監督であれば、投手の起用法に関してはピッチングコーチに任せている傾向が高いです。そういうときに、不自然な継投が起こったりすると、ベンチを見ますね。どんなコミュニケーションをしているのか? 誰がどんな指示を出しているのか? そういうところをくまなく観察していくと、新たな攻め方が見出されたりします。

ヤクルトのコーチ陣は、手前味噌ではありますが、非常に優秀だと思います。それぞれが、自分のコーチングに対して、また、チームの組織的なことについて非常に興味を持ち、行動しています。

優勝したときもおそらく全コーチが、「俺の力だろう」と思っていたと思いますよ。それくらい、全員が優秀で素晴らしいスタッフだと思います。

取材協力:高森勇旗

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アルファポリスビジネス編集部

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