高島屋がニトリをテナントに取り込んだ理由 木本茂社長に百貨店事業の巻き返し策を聞く
――百貨店とショッピングモールが近接している場合、ショッピングモールのほうに客が流れてしまうのはなぜか。
ショッピングモールは、百貨店に比べて規模が桁違いに大きい。とりわけ若い層は、多彩なセレクトショップから選びたい、駐車料金も無料、となれば、そちらにひっぱられてしまう。
――中間層を取り戻すために、どのような手を打っているのか。
1つの策として、家具大手のニトリと手を組んでいく。まずは、横浜の港南台店の4~5階に入ってもらう。新客を集めてもらえるという期待は大きい。さらに、採算向上にもつながる。家賃収入という形になるので、2層分の売り上げは減るが、その分、かけるコストも減らすことができる。
――今後、ニトリはどこの店舗に入れていくのか。ニトリ側は新宿店を狙っているという噂もあるが・・・。
提携は、地方郊外型店に限った話ではない。新宿店に限らず、様々な店舗について交渉しているところだ。
ニトリ以外でも、立川店では春に大型書店のジュンク堂を入れた。立川は隣が伊勢丹で、あちらの規模は倍。伊勢丹のダイジェスト版をやっても仕方がないので、百貨店として競わずに、ショッピングセンター事業を展開する子会社・東神開発のノウハウを活かした店作りをして、2つの商業施設での相乗効果を狙っていきたい。
ドコモのカードとも提携し、若者に訴求
――若者を取り込むためにNTTドコモと手を組んだ。
4月から、1900万人が使用しているドコモのクレジットカードにポイントがつくようになった。今期中には、3500万人が持つドコモのdポイントカードとの提携も始まる。昨年は30~40代の層の落ち込みが大変大きかったので、回復のためのカンフル剤としていきたい。
――従来の百貨店商材に果たして若者が買いたくなるものはあるのか。
若くても、クオリティーの高いものを買おう、という方はいる。ショッピングセンターや駅ビルとは違う、本物志向で最新の流行を取り入れたものの品揃えは、靴やアパレルなどで強化しているところだ。前期で7%減収と落ち込みが最も激しかった婦人服では、秋から次世代の客である30~40代をターゲットとした自主編集売り場をスタートする。
――一方、都心型店の場合はインバウンド需要を取りこぼさないことが重要になる。
ホテル新羅、全日空と合弁で運営会社を作り、2017年春には新宿店に空港型免税店(消費税に加え、関税、酒税、たばこ税が免税となる免税店)を出す予定だ。
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