資生堂は株主総会でも「女性活躍」を強調した 魚谷社長のプレゼン術に株主も舌を巻く

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前期の業績は、国内で訪日観光客の需要増にブランド改革が奏功、5割増の営業増益を達成できた

きらびやかなシャンデリアに照らされた帝国ホテル(東京都千代田区)の「孔雀の間」。3月25日(決算期変更に伴い例年より3カ月前倒し)、化粧品国内大手の資生堂は、定時株主総会を開催した。

所要時間は、約1時間57分(2015年は2時間5分)。会場を訪れた株主は、2015年より250名ほど少ない2196名。剰余金の配当、取締役7名の選任、業績連動型の取締役賞与支給、などの議案は全て承認された。

「皆さんの目から見て、資生堂は変わったのでしょうか」――。議長を務めた魚谷雅彦社長は、映像による業績説明が終わると、会場の株主にこう問いかけた。2014年に異例の外部人事で社長に抜擢され、中期経営計画「VISION2020」を掲げて、業績の立て直しに邁進する魚谷社長。改革2年目の成果について、34分間にわたり熱弁を振るった。

インバウンドで国内は好調だった

2015年12月期(決算期変更により国内のみ9カ月決算)を振り返ると、国内事業は売上高で2667億円(前年同一期間比10.9%増)、営業利益にいたっては305億円(同52.1%増)と、好調な着地だった。

マーケティング投資を集中させて行ったブランド改革が効き、主力の中価格帯ブランド「エリクシール」や「マキアージュ」などが好調。また、中国人を中心とした訪日観光客需要の恩恵を存分に受け、高価格帯の「クレ・ド・ポー ボーテ」や「アルティミューン」の美容液が大ヒット。魚谷社長は「長年の課題だったシェアの低下にも歯止めがかかり、回復の兆しが見えてきた」と、国内改革の進捗状況には自信を見せた。

一方で、連結売上高の6割以上を占めるにも関わらず、ようやく21億円の黒字に浮上したばかりの海外事業に対しては、「2桁の営業利益率を目指すために、構造改革を急がなくてはならない」と力をこめて語った。

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