資生堂は株主総会でも「女性活躍」を強調した 魚谷社長のプレゼン術に株主も舌を巻く

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――2020年に新大阪工場が稼働し、日本製スキンケア商品のアジアへの輸出を強化していくとのことだが、資生堂が強みとする「メイド・イン・ジャパン」の商品は、現時点でいったい何割くらいあるのか。

櫛田靖執行役員(生産・購買・ロジスティクス担当) 日本製がどれくらいかは申し上げられない。売上高に占める海外比率が高まっていく中、世界の13工場から各地へ商品を供給している。その中で、日本製スキンケア商品を好むアジア人向けには大阪新工場の商品を供給する、という最適な作り方をしていきたい。物流拠点を併設したり、ロボットを導入したりすることで、効率化も進めていく予定だ。

魚谷社長 現在、中国の観光客を中心に、インバウンド消費が盛り上がっている。やはり、日本の商品の安全性や使用性の高さを評価してもらっている、ということだろう。日本で買ってもらうだけではなく、中国現地、免税店での購入において、日本製は競争力を持つ。一括して製造することでコストを下げるため、大阪新工場の建設に踏み切った。

――役員報酬は業績連動だが、株主配当は配当性向40%を基準にするとのこと。もとは50円あったのが(2013年3月期まで)、20円に減った、というのが今の姿。株主だけ置いてきぼりというのが、ここにいる株主全員の思いだ。いきなり50円に戻せ、とは言わないが、今後の決意を聞かせてもらいたい。

魚谷社長 基本的な考え方としては、配当と株価の上昇で皆さんの期待に応えていきたい。計画を上回る業績となり、大きな投資が発生しなければ、株主に報いていきたいと決意している。

若い客層から敬遠されている?

特徴的な赤い容器の「アルティミューン」は中国人観光客の爆買いで売上高を大きく伸ばした(撮影:今井康一)

――店頭販売員の女性はがんばっていると思うが、活躍のための支援が十分ではない。百貨店など小売店の都合に、ふりまわされているのではないか。

魚谷社長 成績のいい美容部員は、統括する営業部員としっかりチームになって、仕事の仕方やスケジュールを共有している。チームワークのいい人ががんばれるということ。美容部員ががんばると同時に、管理する営業がどれだけ心を配れるかが、非常に重要だ。

――顧客年齢の若返りが課題ということだが、初めて使った化粧品は印象に残るもの。百貨店で客を待ち構えているだけではなく、高校や大学で化粧のレッスンをするなど、攻めの営業をしていくべきだ。

坂井透執行役員(日本事業担当) 高校に美容部員を派遣して、化粧を教える活動は、私が入社した35年前にはすでにやっていた。最近はこれが発展して、大学生向けに就活メーク講座も行っている。また、若い方から当社の商品が敬遠されているということを反省して、ネット上で積極的にメッセージを送っている。2015年10月には、動画投稿サイトYouTubeに「High School Girl?(メーク女子高生のヒミツ)」という、男子高校生が資生堂のメークを使って女子高生になる、という動画をあげたところ、わずか2週間で900万人からの反応があった。私達でも若い人にアピールできるのだと自信を持てた。さらに若年層の深掘りをしていきたい。

魚谷社長 若い世代は、SNS(交流サイト)やスマートフォンを使いこなしているので、インターネットを通じた関係作りの強化をしていきたい。

印南 志帆 東洋経済 記者

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いんなみ しほ / Shiho Innami

早稲田大学大学院卒業後、東洋経済新報社に入社。流通・小売業界、総合電機業界などの担当記者、「東洋経済オンライン」編集部などを経て、現在は『週刊東洋経済』の巻頭特集を担当。過去に手がけた特集に「半導体 止まらぬ熱狂」「女性を伸ばす会社 潰す会社」「製薬 サバイバル」などがある。私生活では平安時代の歴史が好き。1児の親。

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