高島屋がニトリをテナントに取り込んだ理由 木本茂社長に百貨店事業の巻き返し策を聞く
日本の免税品売り上げは、銀座と新宿で全体の45%を占める。銀座のほうが大きいマーケットだと思われがちだが、実は、新宿が銀座を上回る。現在、銀座はすでに2店の空港型免税店(三越伊勢丹、ロッテ免税店)があるが、新宿は同業態が空白のところに出すことができる。2号店として計画している大阪でも、なるべく早く事業化できるように検討する。
――ただ、元安円高に振れたことで、訪日中国人の“爆買い”は一服し、買い物額が減少している。買われる商品も、百貨店が得意とする時計などの高額品から、安価な化粧品など消費財にシフトしてきている。
タックスフリーショップを運営してきたことで得た商品の動きの知見を活かして、商品構成をどうするか考えていく。
さらに、今回提携する韓国ホテル新羅が持つ中華圏観光客向けビジネスのノウハウも活かす。品ぞろえを考えるうえで、大変参考になったのは、3月末にできたロッテ免税店。日本の商品を中心としながら、中国で人気のある韓国の化粧品を出していたことだ。今、日本製人気が話題になっているが、実は、韓国製も中国人には高い人気がある。また、ホテル新羅は中国の旅行会社とのネットワークが強く、団体客の誘致を期待できる。同社は中国内に営業所を8拠点持っており、1000社の旅行会社と提携している。
黒字化した新宿店、「バスタ」で弾みがつくのか
――南新宿の再開発で、最大級のバスターミナル「バスタ」と直結した。外国人観光客が団体バスで移動することを考えると、大きなインパクトになるのではないか。
今まで、成田・羽田空港と新宿を行き来するリムジンバスの発着は新宿西口だったから、南口の新宿店まで歩こうとすると、かなり距離があった。
それが、これからは必ずバスタを経由するようになる。バスタの外にできた商業施設「エキソト」には、免税をアピールする広告を投入するようにしている。
さらに、ルミネの新業態に隣接することになる。競合相手というよりも、新たな集客装置として期待している。オープンにあたって、ルミネの新井良亮社長とお話する機会が多かったが、「相互に多くのお客様に来てもらえるようにしましょう」と、思いは一致している。
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