ビル・ゲイツは桁外れの逆張り成功者である

先行き不透明な技術に投資をし続けた

思えばこの100億ドルにも、5年の歳月がかかっている。そもそもバフェットは、コカ・コーラやウォルト・ディズニー、アメリカン・エキスプレスといった安定的に成長する企業の株を買い、長く保有することで莫大な利益を上げてきた。その基本方針は、これらの企業の経営にあれこれと口を出さないこと。逆張りの最大の勝因は、「ほったらかして待てること」にあるのかもしれない。

話は飛ぶが、私が初めてコンピュータを見たのは15歳のときである。

当時住んでいた札幌で、富士通のFACOM230という汎用機を目にしたのだ。40年前のその機械は自動車よりも大きかったが、毎秒1000回程度の掛け算しかできなかったのである。現代の炊飯器にも及ばない。

一方、私と同い年のビル・ゲイツは、13歳にしてすでにプログラミングを始めていたという。高校時代にはその才を生かし、企業からアルバイト料ももらっていた。断っておくが、金に困っていたわけではない。ビルの父親は西海岸でも有名な弁護士、母親は裕福な銀行家の娘で、全米屈指の募金団体ユナイテッド・ウェイの理事。家庭はとてつもなく恵まれていた。

ビル・ゲイツは桁外れの逆張り成功者

本記事は『これが「買い」だ : 私のキュレーション術』(新潮社)からの転載です(書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします)

1975年、ビルは19歳でマイクロソフトを創業する。しかし、同社の株価が本格的に上がり出すのは「Windows 95」の発売以後だ。その間およそ20年、ビルはどこまでものになるかわからない技術に、ひたすら投資していたことになる。この長期投資が、結果としてビルを桁外れの「逆張りの成功者」に押し上げたことは言うまでもない。

もちろん、こんな生き方が誰にでもできるわけではない。たいがいの人は、人生においても順張りを選ぼうとするのではないか。皆が入りたがる会社に就職し、住みたがる場所に家を買い、誰もが羨む女性と結婚する。そんな人生に憧れる人はいくらでもいる。

しかし、世間の価値観に素直に従う生き方は、意外に手がかかるものである。毎朝、満員電車に揺られて通勤し、限られたポストを同僚と競い合い、妻の機嫌を延々ととり続ける人生はしんどい。

順張りのデメリットは、常に世の中の動きを見ながらあくせく働かなければならないところにある。が、ビジネスでも人でも、まともに育てようと思ったら、10年や20年はかかるはずだ。その間、気長に放っておいたほうがうまくいくケースは多い。私が逆張りを推す所以である

「ほったらかして待てること」は、じつは偉大な才能なのだ。

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