被災者ケアだけでなく「支援者ケア」も重要だ 支援者は自分自身を守る方法を心得ておこう

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災害支援活動に参加するためには、支援者が自分とストレスについて十分に理解し、自身を守るケアを心得ておくことがとても大切だ。具体的には以下の通り。

自分の状態を知る

現在の身体的・精神的状態を客観的に把握する。たとえば睡眠や食事の状態、最近受けた治療、持病や服薬の状況、半年から1年ほどの生活上の大きな変化や喪失体験、ネガティブな人生経験など。落ち着いて活動するためには身体的にも精神的にも安定した状況が必須だ。支援者が不安や心配を抱えたままでは被災者サポートなどできない。「失業して先々不安。だけど時間があるからボランティアします」といった状況では好ましくない。

ストレスと自分について理解する

被災者支援にはさまざまなストレスがつきもの。だからそもそも「ストレスとは何か」について、理解をしておく必要がある。ストレスとは、物体の外側からかけられた圧力によって歪みが生じた状態のこと。ストレスを風船にたとえてみると、風船を指で押さえる力をストレッサーと言い、ストレッサーによって風船が歪んだ状態をストレス反応と言う。そして医学や心理学の領域では、身体や心にかかる外部からの刺激をストレッサーと言い、ストレッサーに適応しようと身体や心に生じるさまざまな反応をストレス反応と言う。

通常と過剰の違いを見極める

「ストレスとは何か」を知ることとは、「ストレスを感じている自分と感じていない自分の違い」の正確な把握につながる。

ストレス反応について理解する

支援活動においては、自身の「通常の」ストレス反応と「過剰な」ストレス反応との違いを見極めることも大切だ。通常のストレス反応とは睡眠の質の変化、感情の鈍化・麻痺、いらだち・怒り・欲求不満、恐怖、不安、抑うつ、人付き合いの減少、身体反応(頭痛、腹痛など)など。被災地や被災者とかかわることにより起こる一般的な反応である。

しかし、より深刻な反応として共感ストレス(無力感、混乱、孤立感)、共感疲労(意欲の喪失、疎外感、あきらめ)、フラッシュバック(トラウマが頭から離れなくなる、生々しいイメージが何度も繰り返される)、アルコール依存、リスクの高い行為などが生ずることがある。こうした場合、専門家のサポートが必要だ。

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