室内空間が変わる?ウイルス分解の新技術 NEDOと東大が開発
可視光に対応する光触媒がもともとなかったワケではなく、2001年に窒素ドープ型と呼ばれる酸化チタンが生み出され、実用化されている。ただ、光触媒として使うには不十分という指摘があり、より高い性能を持った光触媒が求められていた。これに対して、NEDOと東大が新たに編み出した銅系化合物酸化チタンは、窒素ドープ型に比べて可視光への感度を10倍以上に高めたという。
この新しい光触媒の開発に当たって、NEDOは2007年に「循環社会構築型光産業創成プロジェクト」を発足。光触媒研究の最前線にいる科学者や関連する企業の担当者を定期的に集めて技術開発を進めるとともに、病院や空港などでの実証試験で効果も確かめた。
たとえば病院では、住宅設備機器大手のTOTOが光触媒塗料でトイレ内の壁面を塗装。未改修のトイレと比べて、洗面台周辺の菌を97%抑制するという実験結果が得られた。空港のカートなどでも実証データを得た。
光触媒の市場は2011年で700億円程度(光触媒工業会調べ)と10年前に比べて2倍以上に広がっているが、最近は頭打ち傾向にある。というのも、「室内に応用するのが難しかったため、市場が広がらなかった」と、NEDOとともに新しい光触媒材料の開発を取りまとめた東京大学先端科学技術センターの橋本和仁教授(=タイトル横写真=)は解説する。