人望のある人は「不機嫌」を切り離している 他人を操りたい人の策略に乗ってはいけない

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どんなに状況が悪くても不機嫌な態度を取らず、言うべきことはしっかり言う。建設的で前向きな態度を取り続けることが、人望を得るコツといえるでしょう。

関心の幅を広げる努力をする

『職場にいる不機嫌な人たち』西多昌規(KADOKAWA)書影をクリックすると販売サイトへジャンプします

以上のことを理解した上で、常に上機嫌でいるには、「関心の幅を広げる」とよいと思います。

不機嫌になりやすい人の特徴として挙げられることのひとつに、「関心の幅が狭い」ということがあります。

たとえば、中年の上司の周りで、若い部下たちがアイドルの話で盛り上がっていれば、そのアイドルを知らない上司は不快になるでしょう。周りの人の話題についていけないと取り残された感じがするからです。

この「取り残された感じ」が不機嫌のもとになります。拒絶されている感じを、本人には「疎外感」と受け取ります。不機嫌な人は、自分の甘えを受け入れてもらいたいので、甘える相手がいないこと、疎外されていると感じることが何より嫌なのです。

こうした疎外感にプライドや自己愛を耐えがたく傷つけられるせいで、人は不機嫌になりやすくなります。ですから、いつも上機嫌でいるためには、疎外感を感じなくて済むように、自らで対処するとよいでしょう。

かといって、いきなり話題のものすべてに関心を持てというのも、無理な話でしょう。若い人ならば新しいものへの柔軟性もあるでしょうが、それなりの年齢になると、そういうわけにもいきません。

年齢を問わず新たな興味や関心を広げるいちばん手軽な方法は、本を読むことではないでしょうか。一流のビジネスパーソン、科学者、専門家、それに医者など、私の狭い交流範囲の中でも、感情的に安定している人は、読書量が多い印象があります。

常に上機嫌でいたいという人は、読みたい本を買って読みましょう。関心の幅を広げ、小さな気づきを積み重ねることで、不機嫌の虫をゆっくりと退治していくことにつながるでしょう。

『幸福論』で名高いフランスの哲学者・アランは、同著(新潮文庫)のなかで、「悲観主義は気分によるものであり、楽観主義は意志によるものである」と言っています。嫌なことで落ち込んだり悲しんだりするのは気分に流れされやすい人であり、いつも機嫌良くしている人は意志の力でつねに機嫌良くいるよう努めているということです。

いつも上機嫌でいられる人は、甘えない。だからこそ、信頼に足る人だということ。そのことをいつも忘れずにいたいものです。

西多 昌規 早稲田大学教授 早稲田大学睡眠研究所所長 精神科医

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にしだ まさき / Masaki Nishida

東京医科歯科大学医学部卒業。ハーバード大学客員研究員、東京医科歯科大学大学院助教、自治医科大学講師、スタンフォード大学客員講師などを経て、現職。日本精神神経学会精神科専門医、日本睡眠学会専門医、日本老年精神医学会専門医など。専門は睡眠医学、身体運動とメンタルヘルス、アスリートのメンタルケアなど。著書に、『休む技術』『休む技術2』(大和書房)、『悪夢障害』(幻冬舎新書)、『自分の「異常性」に気づかない人たち』(草思社文庫)などがある。

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