ルネサス買収に浮上 官民日の丸連合の矛盾

官民支援によって資本が増強されたとしても、多数の企業が出資して関与者が増えることで経営の所在はますますあいまいになる。誰かが泥をかぶらなければならないリストラは、先送りされかねない。

甘い体質の一掃なるか

ルネサスが高いシェアを持ちながらも赤字が慢性化しているのは、製品ごとのシビアな採算管理ができていなかったからだ。もともと巨大な電機メーカーの一部門であり、自社向けの部品生産ならば半導体単体での採算を考える必要はなかった。外販でもほかの事業とトータルで収支が合えばよい。大口顧客向け製品で値上げ要求をした際、「ウチのA社向け取引額を知っているのか」という本体トップの一言で交渉が霧散したこともある。

外資の半導体メーカーは「一定レベルの利幅が取れないようなビジネスは原則として受けない」(外資系半導体メーカー日本法人トップ)。一方、ルネサスは不採算・低採算の製品を多く抱えている。車載用マイコンでは黒字を出せているとはいえ、外資系の常識からは低採算。つまり、ルネサスを本気で再建しようとするなら、不採算品の大胆カットとトップシェアを誇る車載用マイコンの値上げは必須だ。

だが、顧客である自動車メーカーを中心に出資を受けてそれができるのか。そもそも自動車メーカーなどが外資に不安感を抱くのは、部品メーカーであるルネサスとの主従関係が崩れるからである。

いずれにせよ、ルネサスを本気で再建しようとすれば、株主や金融機関はもとより、従業員、取引先も痛みを受けることは避けられない。それは日の丸連合が買収しようと変わらない。中途半端な覚悟では、政府が支援しながらも結局は倒産、最後は外資の手に落ちたエルピーダメモリと同じ道をたどるだろう。

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(本誌:長谷川高宏、山田雄大 =週刊東洋経済2012年10月6日号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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