「だってオタク、やるんでしょ。消費増税を」と言われているようで、何とも気恥ずかしい。それ以上に大変なのが新興国だ。特にブラジルとロシアは惨憺たるものだ。中国の6%成長への評価は意見が分かれるところだが、ハッキリと好調なのはインドだけだろう。このことを、「BRICsブームは終わったが、愛(I)だけが残った」と称する。でも愛だけじゃご飯は食べられないよね。
かくして全世界的な「低成長、低インフレ、低金利」が広がっている。「まるで日本みたいじゃないか」とか、「日本はもう他人事ではない」などと言われるたびに困ってしまうのだが、さてどうしたらいいものか。
思えばこのところの世界経済は、バブルが崩壊するたびに次のバブルを起こして対応してきた。最初はITバブル。それが2001年に崩壊すると、次はアメリカの住宅市場にバブルが転じた。皆さん、話題の映画『マネーショート』はご覧になっただろうか? MBSとかCDOとかCDSとか、懐かしい言葉がいっぱい出てきて、住宅バブルから2008年金融危機までの疾風怒濤の日々をまざまざと思い起こさせてくれた。
金融政策はもう限界、財政政策の出番か
リーマンショック以降は、中国経済など「新興国バブル」が穴を埋めてくれた。それもとうとう減速が始まって、いよいよ次の一手が見えなくなっている。石油価格が2年前の半値以下になったということは、資源多消費型の成長はもう続かないということだろう。かといって「次なるバブル」のネタもすぐには見つかりそうもない。
最新号の外交専門誌『フォーリンアフェアーズ』では、元米財務長官のローレンス・サマーズ教授(ハーバード大学)が、お得意の「長期停滞論」を展開している。いわく、世界経済の問題は過剰貯蓄と過少投資にある。これを解決するには金融政策ではダメで、財政政策の出動が必要だ。国際協調によるインフラ投資を呼びかけるべき、と論じている。
確かに金融政策にはこれ以上頼れそうにない。欧州と日本はマイナス金利にまで踏み込んだけれども、効果の方は判然としない。いや、むしろ高齢者や金融機関からは怨嗟の声が上がっていて、かえってデフレ心理を深めてしまったかもしれない。そこで財政出動の出番だが、これは大規模にやらないと効果がない。問題はどの程度の国が同調してくれるかで、その意味でも来月に予定されているG7伊勢志摩サミットが重要になってくる。
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