「年金運用で巨額評価損」という不都合な真実

野党が「参院選前に開示せよ」と主張

井坂氏は4月1日の衆院厚生労働委員会で、自ら試算した運用損益を公表したが、この試算によれば現行ポートフォリオ(現行比率)による2015年度のGPIF運用損益はマイナス4.9兆円にも上る。しかし旧ポートフォリオ(旧比率)によれば、損益はゼロになる。ちなみに旧ポートフォリオとは、2014年10月31日以前の資産構成を指す。

  現行比率 評価損益(兆円) 旧比率 評価損益(兆円)
国内債券 38% 2.6 60% 4.1
国内株式 23% -3.8 12% -2.0
外国債券 14% -0.6 11% -0.5
外国株式 23% -3.2 12% -1.6
合計 100% -4.9 100% 0

もともと日本の年金は、安全性の高い国内債券を中心として運用されていた。2008年度から2014年度までの「第2期中期計画」では、基本ポートフォリオの資産構成は国内債券67%、国内株式11%、外国債券8%、外国株式9%、短期資産5%と決定されていた。ところが「第2期中期計画」の途中にも拘わらず、2014年10月31日にGPIF運営委員会は同年6月の検証結果と厚生労働大臣からの要請を受け、次期ポートフォリオを前倒しで検討し、2014年11月以降は国内債券35%(±10%)、国内株式25%(±9%)、外国債券15%(±4%)、外国株式25%(±8%)に変更している。

ローリスク・ローリターンの国内債券の比率を減らし、ハイリスクだがハイリターンが期待できる国内外株式や外国債券の比率を増やすことで、運用益を増やそうと試みだ。

株価引き上げに貢献

その目的は2つあった。少子高齢化社会により負担増となる年金の財源を確保すること、そして巨額の年金資金を日本の株式市場に流して株価を引き上げることだった。

幸いにして世界的に株価が上昇したため、2014年度の年金積立金は137兆4769億円、収益額は15兆2922億円で、収益率は12.27%にも上っている。

だが今年に入り、世界同時株安が日本を襲った。中国では1月4日に、導入されたばかりのサーキットブレーカーが発動した。日本も大発会から5日連続して株価が下落した。これは1949年に東京証券取引所が開設されて以来、初めてのことだった。

そして3月29日から4月6日まで、安倍政権始まって以来の7日連続の株価下落を記録し、とうとう1万6000円台を割るに至った。

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