「年金運用で巨額評価損」という不都合な真実 野党が「参院選前に開示せよ」と主張

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そもそも年金運用が景気によって影響を受けることは、過去の運用実績を見ても明らかだ。

サブプライムローン問題が起こった2007年度には収益額は-5.5兆円で、収益率も4.59%減じている。これに続いてリーマンショックが起こった2008年度には収益額は-9.3兆円で、収益率は-7.57%までに悪化した。当時は株式の運用割合が小さかったが、それでもこれだけの影響を受けているわけだ。株式の運用割合が大きくなれば、当然その影響も甚大になる。

運用損に対する塩崎厚労相の発言は?

実際にどのような運用損が出ているのかについて、政府は正面から答えようとはしなかった。たとえば4月7日の衆議院環太平洋パートナーシップ協定等に関する特別委員会での民進党の玉木雄一郎衆院議員の質問に対し、塩崎恭久厚生労働大臣は以下のように述べるにとどまった。

「今年はGPIFが発足して10年目に当たる。そこでこの10年間の運営の状況をきちんと説明し、ディスクロージャーを高めていこう、国民に透明性を高めていこうということで、保有している銘柄などを分析して開示する準備をしている。その発表は年度で行うということが法律で定められている。またこれにより判明する数字は評価損の数字で、そのまま赤字になっているわけではない。年金で大事なことは、長期視点で賄えきれるのかどうかだ。経済情勢が変わったのだから、ポートフォリオを変えたのは世界の常識。短期的な変化に過度に反映すべきではない」

安倍晋三首相も「安倍政権発足以降、年金積立金の増加は37.8兆円にものぼる。ポートフォリオ見直し後でも、8.9兆円もある。民主党政権時よりはるかに、はるかに、はるかに上がっている」と、運用の健全性を強弁しただけだった。

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