鈴木敏文が「コンビニの玉座」から降りた日 セブン&アイHD会長が電撃引退へ

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――役員会での人事案は何対何で否決されたのか。

鈴木会長:全取締役が15人で、私どもの会社案に対して反対が6票、賛成が7票、白票が2票だった。

――この票数だと賛成の方が反対より多く見えるのだが?

村田紀敏社長:賛成の方が多いと見えるかもしれないが、この件については15名の取締役の出席に対し、賛成が過半数を超えないと可決しない。全体では賛成が多いが、実態としては8票に達していなかった。

鈴木会長:それから、私自身としては、反対票が社外役員をはじめ社内の役員からも出るようだったら、私はもう信任されていないということを考えていた。6票、7票、2票というのは、まったく問題にしていない。

――会長が退任した場合、当面の経営体制をどうするのか。

鈴木会長:これからみんなと相談していく問題で、私が誰かを指名するというのは考えていない。会社の人事案が否定されたが、井阪君が信任されたわけではない。引退を発表した私が明日から会社に来ないという無責任なことはしないが、いずれにしても新体制に立候補する気はない。

息子に世襲させるなど、一度も言ってない

――後任人事についてはどう考えているのか

汗なのか涙なのか、鈴木会長は何度も目尻をぬぐった

鈴木会長:なんで息子(鈴木康弘セブン&アイHD取締役)の話が出てくるのか。それが社外でもそういう話が飛び交っているということを知って、びっくり仰天している。

そんなこと一度も言ったことないし、息子に対してそんなこと考えたこともない。

ましてや、セブン-イレブンの社長にタッチしたわけでもないですし、技術屋である。それがまことしやかに社内で言われるというのは、私の不徳の致す所だ。

――今回の人事案が否決されたことに、責任を取るという意味もあるのか?

鈴木会長:それはある。私は執行部としてやってきて、多くは人事を担当してきた。これまで、自分の人事案に対して否定されたということはまったくなかった。ましてや資本と経営の分離ということは、私自身が行ってきたことだ。自分で行ってきたことに責任を果たすという重要性を自分自身に言い聞かせている。

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