中国企業がバングラデシュに生産拠点を移す時代に!--アジア進出企業の前に立ちはだかる壁
事業が成功すれば賃金は上昇する
--確かに、ストライキや暴動のニュースが増えていますね。
安い人件費を求めて海外に進出していきますが、安い人件費のまま企業と従業員が、いつまでもWin−Winになれるわけではありません。
低賃金労働の最前線であるファストファッションで例を出すと、バングラデシュ第二の都市チッタゴンにパシフィック・ジーンズという会社があります。この会社は最大手のジーンズ製造会社ですが、いわば「巨大下請け会社」です。世界中のファストファッションが顧客になっていて、ギャップもH&MもユニクロもZARAもオールドネイビーも全部、この会社の顧客です。
最新設備を導入し、世界中のブランドに年間3000万本のジーンズを作る--しばらく続くでしょうけれども、先行きが明るければ明るいだけ、「顧客、つまり日系企業や先進国企業との関係性」はいつか変わる時が来ます。
世界中のファストファッション全部を顧客にするパワーは、やがて脅威になる日がやってきます。ある意味で台湾のフォクスコン(ホンハイ)のようなものです。ホンハイも昔は単なるEMSの会社でしたが、今やご存知の通り、日本の電機大手の命運を握る会社になりました。途上国企業が成功すれば、その賃金は上がって当たり前です。
しかも、先進国の各企業のアジアでの投資スピードが上がっている分、さらに賃金上昇圧力は増しています。成功すれば、人件費は上げざるを得ません。