ペットが持つ「癒やし効果」が絶大な理由 凶悪犯罪者さえも心を入れ替える

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私はこの活動にすっかり魅了されてしまった。そこで月に1度、マックスを連れてくることを病院に約束した。私の仕事のスケジュールが合えば、月に1度と言わず何度でも連れてくることも約束した(ただし訪問前にマックスをお風呂に入れることが条件だ)。

病院のスタッフにも効果

セラピー犬は、マックスのように小型でフサフサの毛がなくてもいい。近所の人が飼っているアメリカン・ピットブルのプーチーは、体重が42キロもある。それでもセラピー犬として、ブルックリンの退役軍人病院を訪問したところ、私たちと同じような経験をしたという。初めて会った老人に、「君のおかげで最高の1日になった」と何度も言われたというのだ。

ペットセラピーで癒されるのは患者だけではない。私が見たところ、慢性的にストレスにさらされている病院の職員たちも、患者と同じくらいセラピー動物に癒されているようだった。

セラピー動物は、目の見えない人の活動を補助したり、てんかんや糖尿病を持つ人の体調悪化を感知したりするといった介助動物とは違う。ペットセラピーの主役は、個人が飼っているペットだ。犬であることが多いが、猫やうさぎの場合もある。カンガルー、鳥、魚、爬虫類の場合もある。

そして飼い主が、病院や学校にペットを連れて行き、患者や子供や利用者の心の健康を高める手伝いをする。単調な入院生活から解放する助けになることもあれば、老人ホームの利用者を楽しませる場合もある。本の音読を嫌がる子供たちが、犬を相手に読み聞かせをすることもある(犬なら読み間違いを正したりしないから気が楽なのだ)。

精神科患者のグループセッションに、セラピー犬を「同席」させる病院もある。ノーステキサス大学のシンシア・チャンドラー教授によると、彼女が飼い犬ベイリーをグループセラピーに連れてくるようになると、セラピーの参加者が増えたほか、重い精神疾患を持つ患者の衛生意識や自己管理が改善したという。

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