東京ディズニーランドは「細部」で人を呼ぶ あの感動は「なんとなく」ではなかった!

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パーク内での英語の表現も、さまざまな工夫がある。「ホーンテッドマンション」の墓場にある墓標の名前、その配列、心憎いチョイスには驚く。たとえば、「Paul Tergyst」(poltergeist ※ポルターガイスト現象をもじったジョーク)、「I L. BebacK」 (I’ll be back ※ターミネーターのせりふをもじったジョーク)などが並んでいる。

また、トゥーンタウンには、「3rd LITTLE PIGGY BANK」という銀行があり、シンボルになっている。これは「piggy bank」=貯金箱と「3匹のこぶた」(Three Little Pigs)が掛け合わせてある。さらに、この銀行の扉には「in case of emergency… break pig」と書いてありハンマーが設置されている。こんなところにも、子どもたちの「学びごころ」をくすぐる仕掛けが用意されているのである。

「好奇心を満たすもの」

好奇心は人々を行動に駆り立て、それが満たされると大いに満足する。 好奇心が満たされることも、人がHAPPINESSを感じる大切な要件である。たとえば旅行でも、世界中の美術館を巡るような心を豊かにする旅行もあれば、高いお金を払ってでも南極に行くような好奇心を満たすための旅行もある。

東京ディズニーランドも好奇心を満たすための施設づくりをしている。アトラクションのひとつ、「カリブの海賊」では、「ジャック・スパロウ」の人形がまるで本人のようにしゃべり、動く。これはオーディオ・アニマトロニクスといって、コンピューター制御による音声同調電動システムが、人形を人間のように動かしているのだが、何度見ても飽きない、好奇心の対象となっている。

また、東京ディズニーランドは人々にわかりやすいように施設を作って人集めをしているようで、実は反対のことをたくさんやっている。

「カリブの海賊」では、左右だけではなく前にも後ろにもアトラクションがあって、とても一度で見きれないようになっている。同じものを見ているようで、ある方向によってしか見えないものも作ってあるからだ。そのため、友達は見ているのに自分だけ気付かなかったというものが出てくる。これでは同じ感動を味わったとは言えないため、もう一度行って、自分が気付かなかったところを見たいとなるわけだ。

こうした諸条件をうまく組み合わせることで、人はその場所に魅力を感じ、集まってくる。人はHAPPINESSを求める――そして、サービスを提供する側はそれに奉仕する、これが人集めの基本だ。「人が集まらない」と嘆いている人は、まず、この大前提から議論をはじめることで、次になすべきことが見えてくるはずだ。

先月、某自治体の観光についての打ち合わせに同席させていただいた。「今後、インバウンドのために何ができるか?」との課題提起に対して、堀と親交のあったプロデューサーはこう言った。「インバウンドのために何ができるかを考えるのではなく、本日は、この地を訪れたゲストが感動するために、どんな体験をしてもらいたいかから議論をはじめましょう」と。今後の連載では、この実践方法についても詳しく触れたいと思う。

山岡 禎幸 株式会社 余暇通信社 取締役

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やまおか ともゆき

余暇通信社(東京ディズニーランドを誘致し、総合プロデュースをした堀貞一郎氏が創業)にて講演事業・オーディオブック事業など担当し、「人を集める」「成功を掴むプレゼン!」などのオーディオブックを出版(いずれもナレーションは堀貞一郎氏)。2008年より現職。共著に「ディズニーランド 成功のDNA」(PHP出版)など

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