東京ディズニーランドは「細部」で人を呼ぶ あの感動は「なんとなく」ではなかった!
「日常性から脱却できるもの」
人を集めたいと思うとき、重要なポイントのひとつが「日常性から脱却できるもの」という点だ 。年々、日常生活が複雑になり、ストレスが増し、日々のわずらわしさを遮断したい――という人は少なくないかもしれない。そんなときに最高の助けになるのが遊園地だ。
堀によると、レジャー施設による「日常性からの脱却の方法」は主に2種類あるとのことだった。ひとつはアミューズメント・パーク方式である。
4つほど例を挙げると、1つは、皆さんがご存知のようなスリルライド(ジェットコースター)だ。2つ目はギャンブル。3つ目がお酒(Bar)。4つ目がエンターテインメント。国際的に遊園地と呼ばれているものは、この4つを組み合わせていることが多い。一方、ディズニーランドはこのアミューズメント・パーク方式をとってはいない。ディズニーが考え出したのがテーマパーク方式である。
これは、テーマのある環境を構成して、回りの景色を完全にシャットダウンすることで究極的に日常から脱却させる方式である。これが、世界中のディズニーランドに人が集まり、幸福感を感じさせる最大の理由だと堀は言っていた。
もし、あなたが東京ディズニーランドに遊びにいった日に、大混雑で次に乗るアトラクションに困ることがあれば、パーク内を散策しながら外の建物が見える場所があるか探してみると面白い。東京ディズニーランドのさまざまなディテールの工夫が見えてくる。
京葉線もディズニーリゾートラインも、葛西臨海公園の観覧車もイクスピアリも周辺のホテルも、意外なことにほぼ見えない。土を高く盛り、さらに植栽をして、外が見えないようになっている。回りの景色を完全にシャットダウンすることにこだわり、高いところでは土が15メートル以上も盛られている。回りの景色のシャットダウン方法は、ほかにもいろいろとある。夜のシャッター街とプロジェクションマッピングの組み合わせや、雪と灯篭の組み合わせなどもそうだ。
また、屋内についても同様に、この日常の“シャットダウン”は重要だ。東京ディズニーランドの「ホーンテッドマンション」や「ビッグサンダー・マウンテン」で誘導灯・非常用照明器具を探してみるのはどうだろう? 同様に、ほかの遊園地のお化け屋敷をいくつか巡り、誘導灯・非常用照明器具を探してみた後に比べてみるのだ。
遊園地ではすぐに誘導灯・非常用照明器具が見つかる。一方、東京ディズニーランドのアトラクションでは相当真剣に探さないと見つからないはずだ。きちんと設置されているのにだ。アトラクションが停止したときにはすぐに見つかるが、動いているときには見つからない。そのような視点の工夫がある。堀たちが、誘導灯1つにしても、HAPPINESSの提供にこだわり、規制に挑んだことをうかがい知ることができる。
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