「中国リスク」徹底検証

対立長期化に備えよ

「北京での反日デモには、近隣地域からの動員組がかなりいた。ほかの地域でも大同小異」(北京のジャーナリスト)。デモの過激化にも、政争の影は見え隠れしている。あまりにも不確定要素が大きい日中の政治に左右されることが、日本企業が抱える最大の「中国リスク」だ。

北京で日本料理店を開いて10年以上になる日本人起業家が言う。「03年のSARS(重症急性呼吸器症候群)や、05年と10年の反日デモを中国人従業員と心を合わせて乗り越えてきた。だが、今回は何かが違う」。これまでは反日デモの最中でも、店内は中国人客で満員だった。ところが今回は尖閣の国有化以来、売り上げは前年の3割ダウン。今も回復していない。

日本国内にも影響は必至だ。日本総研では、中国向け自動車やIT機器部品などの減産が6カ月間続いた場合、実質GDP(国内総生産)は13年度にかけて2.1兆円(実質GDP比0.4%のマイナス)押し下げられると試算している。

中国で事業を展開する日系企業は、複雑に絡み合ったリスクとの対峙を余儀なくされる。まず、反日感情による不買運動のリスクだ。ただ売り上げが減るだけではなく、人材の流出など副次的なリスクも伴う。中国では新政権の発足後に大規模な公共投資が動き出すとみられるが、その入札から日系企業が外されることも考えられる。

最終消費財を扱うメーカー以外にとっては、景気減速が大きなリスクだ。たとえば、今期の連結純益予想を5000億円から3300億円に引き下げた三菱商事。大きな要因は、同社が中国の製鉄会社向けに納入する豪州産原料炭の需要減だ。中国の7~9月期GDPは、7・4%増にとどまり、7四半期続けて前の期の伸びを下回った。景気減速による鋼材需要減に直撃された格好だ。

しかし、これまでのような高成長が見込めないにしろ、世界を見渡してこれほどの有望市場は少ないのも事実だ。求められるのは、リスクを上回るリターンを上げることだ。

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