新幹線開業初日、「変わる北海道」の姿を見た

「道民の悲願」達成も、将来像はまだ見えず

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木古内駅前の道の駅で、接客に追われる浅見さん

木古内駅の真向かいに建つ「道の駅 みそぎの郷 きこない」は、店内が歩きづらいほど混雑していた。特に、いさりび鉄道の記念グッズ売り場には長い列ができていた。主役は新幹線だけではない。食や文化など地域情報発信を狙う特別仕様車「ながまれ号」(「ながまれ」は道南や東北の方言で「くつろげ」「ゆっくりしろ」という意味)にちなんだグッズが人気を集めていた。

以前、取材させていただいた観光コンシェルジュの浅見尚資さんは、観光客の対応に追われていた。同じくもう一人のコンシェルジュ、津山睦さんはテレビカメラに向き合っていた。ほとんど言葉を交わす余裕がなかったが、元気に活動している姿にほっとした。間もなく始まったイベントのあいさつで、大森町長は1月13日のオープン以降、道の駅の利用者が6万人を超えたと強調していた(注:開業翌日の27日、7万人を超えたことが公表された)。

在来線は無人駅に…

ただ、在来線の木古内駅を訪れ、小さなショックを覚えた。新幹線と接続するこの駅が、無人駅になるとは思わなかった。

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いさりび鉄道の1両編成列車は大混雑に見舞われた

そして10時13分発の函館行き列車。1両編成でワンマンの気動車は、発車が迫るにつれ、新幹線から乗り継いだ人や地元の人であふれかえった。だが、それを整理する車掌がいない。

函館へ近づくたび、すし詰めの車内へさらに人が乗り込もうと試みる。その都度、心ある乗客が「お願いですから、もっと奥に詰めて」「まだホームに残っている人はいますか?」と誘導を試み、何とか事なきを得た。

狭くなった車両で、もみくちゃにされ、皆に気遣われた後、五稜郭駅で席を譲られた高齢の女性がいた。北斗市に住んでいるという。「94歳になるんだけど、こんな日に年寄りが出てこない方がよかったのかねぇ。そういえば、昔はバスも汽車もこれぐらい混んだよねぇ」。苦笑しながらも、本人は屈託がない。

彼女と握手して分かれたが、約1年前、やはり1両だけの気動車に詰め込まれて苦痛を語っていた、北陸新幹線の並行在来線「えちごトキめき鉄道・ひすいライン」の乗客の高校生を思い出した。この混雑は、開業シーズン限りの特需かもしれないが、しわ寄せの多くは若者や高齢者に向かう。

1時間ほどの乗車でたどりついた函館駅前では、突き抜けるような青空の下、文字通りお祭り騒ぎが繰り広げられていた。改札口で「函館へようこそ」と大合唱する観光関係者や旅館の女将さん、開業記念に、LEDを組み込んだ「光る号外」を配る地元新聞社員、きっぷやパンフレットを求めてごった返す人々――。北陸新幹線開業時によく見かけた、「ちょっと、金沢まで。」のロゴが入った法被を着た女性や、富山名物「ブラックラーメン」の屋台も。さすがに驚いて周囲を見ると、「つながるニッポン祭り」というイベントの会場に足を踏み入れていた。

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