信用されない人は「1秒」の想像力が足りない ANA社員が段取りに力を入れるワケ
ANAのパイロットたちは、コックピットの計器が絵で描かれた紙のシミュレーター、通称「紙レーター」というポスターを部屋の壁に貼るなどして、本番のフライトのイメージをもつようにしています。
「台本」が気づかいする余裕を生む
用意周到な準備は、気づかいをする余裕を生みます。機長の猿棒は「自分はパイロットの中でも極端なほうなのかもしれませんが」と前置きしつつ、「機長昇格を目指すときに、出発前の確認などの台本ノートを作って、それを暗記して、翌日に臨むようにしていました」と話します。
その台本ノートには、次のようなことが書かれています。
このように台本ノートに、自分の発するセリフ、自分の行動などを、具体的かつ詳細に書き、それを音読する。そして、翌日の「本番」で同じことを実施する、という状態をつくりあげておくのです。
これは、どんな仕事でも応用できる方法です。たとえば、人前であいさつをするとき、イベントなどで司会をするときはもちろん、少人数のチームミーティングなど、決められた時間の中で何かを伝えなければならないときは、事前に文章にして、どの順番で話すか「台本」を作っておく。箇条書きやメモではなく台本にしておくことで、ヌケ・モレを防ぐことが可能になります。
こうしてイメージトレーニングをしたり、「台本」を準備しておくことで、心や時間に余裕が生まれ、まわりの人や環境が見えるようになります。そうした状況をつくることによって、自然と気づかいをする余裕も生まれるのです。
イメージトレーニングや「台本」は、一見面倒な準備に見えるかもしれません。しかし、実は 「新人や業務に慣れない人、テキパキ仕事が進まないと悩んでいる人にこそ、効果がある」と猿棒は言います。
どんなに小さなことであっても、その場で考えて決断を下すというのは、意外なほど時間のかかるもの。「えーと……」と停滞している 30秒や1分の時間が積み重なっていくと、本番でのタイムロスになります。
本番の仕事はたいてい自分一人でなく、相手や仲間がいるものですから、タイムロスの影響も大きくなります。事前にセリフや行動など具体的なイメージをしておくことは、タイムロスを防ぐことにもつながるのです。
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