信用されない人は「1秒」の想像力が足りない ANA社員が段取りに力を入れるワケ

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また、「作業に支障が出る要因」を事前に想像しておくと、受け身ではなく、自分から主体的に仕事を進めることができます。

「イメージフライト」を済ませておく

一歩先を想像して気づかいをするには、限られた時間内で用意周到な準備をしておく必要があります。では、実際どのように準備をすればよいのでしょうか。

ANAの社員が実践している具体的な方法のひとつとして、「本番での自分の振る舞い方を徹底的にイメージしておく」というものがあります。

そのイメージづくりは、「なんとなく場面を想定しておく」という程度のものではありません。「自分が見るであろう光景や、自分が発するであろう言葉などを書き留め、暗記する」という徹底的なものです。

勤続21年、ボーイング767の機長をしているパイロットの猿棒正芳は、機長に昇格する前の副操縦士だった時代から、フライトの前日に「イメージフライト」をしていると話します。

「副操縦士になりたてで、まだフライトにあまり慣れていないころには、フライトの前日に4、5時間かけてイメージフライトをしました。予想天気図を見て、『どの高度を選ぶか、どの高度まで選択できるか? 上限は? 下限は?』などを考え、また、着陸する空港の滑走路について、空港周辺の地図を見ながら『山がここまでせり出していて、鉄塔もこの位置にある。そうであれば、着陸3分前にはこの高度は保っておかなければならないな』と考えを巡らせます」

さらに、「滑走路は1本だな。天気がよくなければ、電波を頼りに着陸するしかない。でも、天気がよければ時間短縮のために、目視で降りるようにしよう。目視で降りるためには、どのポイントで、どの高さにいるべきか? それ以下の高度は大丈夫なのか? 反対にそれ以上の高度でも可能なのか?」などと選択肢のイメージももつようにしていたと言います。

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