ソニー新体制の正念場、大物OBが檄文で憂う

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
ソニー新体制の正念場、大物OBが檄文で憂う

「日本での勝利が、世界市場でのさらなる成功につながる」。9月中旬、都内で開かれたウォークマンの新製品説明会。自社最薄という製品を手に、ソニーのハワード・ストリンガー会長兼社長は年末商戦での躍進を誓った。携帯オーディオの国内市場で米アップルから一時的ながら首位を奪還した手応えもあって、明るい笑顔を記者に振りまいた。

2008年度は過去最悪の営業赤字に転落したソニー。主軸の家電・電子部品事業の再建を狙い、ストリンガー会長が社長も兼任する異例の権限集約体制を敷いて約半年が経つ。大幅な拠点・人員リストラに加え、世界的な在庫調整が順調に進んだことで、直近の09年4~6月期の営業赤字額は計画から約1000億円も圧縮。大手証券会社が投資判断を大幅に引き上げるなど、市場での評価も回復している。年末商戦を善戦すれば、今期業績でV字回復が果たせるとの期待が高まる。

「技術に情熱がない」

その中にあって、ある“檄文”がソニー内部で波紋を広げている。「ソニーよ、普通の会社にまで堕ちてどうする」と題した6000字超の原稿で、ウォークマンの開発に貢献するなど創業期を支えた技術系の大物OBによるものだ。夏からメールを転送する形で広がった。「社外の会合での発言を代筆でまとめたもので、本人は多くの関係者に伝える意図はなかったと困惑している」(ソニー広報センター)。だが想定外に流布したのは、その内容が多くの関係者に賛同され、「創業世代からの叱咤」と受け止められたからにほかならない。

週刊東洋経済が入手した檄文の要旨はこうだ。売り上げの7割をエレクトロニクス機器に頼る製造業・ソニーのトップとして、ストリンガー会長兼社長を「主要な実績といえば、リストラ策を積極的に進めて収益の回復を図ったというもの。(中略)技術とかモノ作りに対し、彼なりの情熱を持っているとは感じられない」と厳しく評価。

さらに「出井(伸之・前会長)体制からソニーの変貌が開始され、ヒット製品を生むことが難しくなった。(にもかかわらず)直言する者がいなくなり、トップの周囲はイエスマンばかりになった」と、社外取締役を含む経営体制を批判する。

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事