ソニー新体制の正念場、大物OBが檄文で憂う

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一方、ライバルのパナソニックが中村邦夫会長の指揮下で苦境から復活したことなどを挙げ、「中堅の技術者を中心として、力のあるやつがまだソニーにはいる」「ナンバー1・2を入れ替えただけで企業が生き返る例は珍しくない」とも断言している。

このOBはストリンガー氏が会長に就任した05年度に、顧問制度廃止に伴いソニーの公職を退いている。だが歴代幹部の中でも影響力の強いOBの指摘は、外野の声と退けるにはあまりに重い。半導体事業の元幹部は「役員やOBの多くは、檄文がわれわれの声を代弁していると思っている」と語る。

成長戦略を示せるか

とはいえ、かつてと今とでは経営環境が大きく異なることも否めない。アップルを代表とする委託生産によるファブレス経営が台頭し、ソニーが抱える生産能力の一部はすでに付加価値をもたらさなくなっている。製品を差別化する要素が、ハードよりソフトウエアやサービスに移ってもいる。この環境下、ソフト畑出身のストリンガー会長兼社長だからこそ見いだせる新たな成長分野もあるだろう。

ソニーは10月下旬にも経営方針説明会を開く。そこでストリンガー会長兼社長と、吉岡浩副社長や平井一夫EVPら「四銃士」と呼ばれる若手経営幹部が、中長期的な成長プランを示す予定だ。

ライバルの韓国サムスン電子やアップルは、直近の業績で金融危機前の収益力を取り戻している。この中で、ソニーも明確な回復シナリオを示し、かつ実現することができるのか。檄を飛ばしたOBをはじめ、すべてのステークホルダーがストリンガー会長兼社長体制の真価を注視している。

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(杉本りうこ 撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済)

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