自販機は飲料メーカーが自社製品の販路確保のために展開し、メーカー系の「オペレーター」といわれる担当者が、商品の補給など自販機をフルメンテナンスしている。当然、各メーカー系の自販機は、自社商品一色となる。
メーカーにとって自社商品が同一カテゴリーに複数の商品を展開することは、自社商品内のカニバリ(共食い)を招くことになる。ゆえに、まったくポジショニングがかぶる商品が同一自販機に展開されることはなく、消費者は知らず知らず、選択肢が与えられていない状況になっているのである。
コンビニで飲料を購入する場合、弁当や菓子、その他商品を買った時の「ついで買い」が多いだろう。弁当の場合まず、どの弁当にしようかなと選んで買う。その後、飲料も飲料の棚の前で「どれにしようかな」と選んで買う。それはまさしく「買い物」である。しかるに、自販機での購入は「買い物」ではなく「補給」といった風情にしかならない。
自販機にもジャパンビバレッジなどのベンダーが、複数メーカーの商品を混載して展開している例もある。オフィスに設置されたジャパンビバレッジの自販機は、ベンダー系のオペレーターが「入れて欲しい飲料があったらリクエストしてくださいね~」と実に親切に対応してくれる。しかし、それらの自販機は街中の好立地に展開できていない。
ウォータービジネス社が目をつけたのはまさにここのポイントだ。駅ナカ自販機を、メーカー各社の売れ筋商品をミックスした自販機「acure(アキュア)」へと変更し、顧客が思わず手に取りたくなる商品を揃えたのだ。複数メーカーの売れ筋商品が並んだ同社の自販機の品揃えを前にすると、確かにどれにしようか迷う。選択の自由を感じる。同社は自販機の低迷が、「供給者目線であったこと」にあると看破し、顧客目線へと変革したのだ。
それだけではない。駅ナカという特性を利用したアイデアを次々と繰り出している。
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