顧客目線で自販機ビジネスを変える!《それゆけ!カナモリさん》
■自販機を起点にプラットホームが変わる??
同社は、伊藤園と共同開発した緑茶飲料「朝の茶事」やアサヒ飲料との共同開発による「ワンダ朝のカフェオレ」など、通勤、通学途上で購入する商品を顧客に提案する展開も行っている。顧客の「不便」の解消にも努めている。かつての100円ワンコインで飲料が買えた時代ならともかく、現在の150円や130円という飲料の価格では、購入する時には小銭がつきものだ。ちょうどピッタリの小銭があるとは限らない。うっかり千円札で購入しようものなら、大量の釣り銭で財布は瞬く間にパンパンになってしまう。電子マネーが普及している今日において、小銭に悩むのは自販機ぐらいではないだろうか。そこで同社は、駅ナカの立地を活かして電子マネー「Suica」対応をいち早く進めた。
同社の取り組みの一つをJR品川駅の同社自販機で目にした。ハウス食品の「ウコンの力」が自販機に入っていたのだ。「朝の茶事」や「ワンダ朝のカフェオレ」といったオリジナル商品に代表されるように、主に「朝」の購入を狙う展開だ。つまり、顧客に朝の飲料購入時に「帰りに酒を飲む時には買っておいて!」と提案しているのだろう。自販機でウコンの力を扱っている例は珍しい。
こうした一連の取り組みが功を奏し、自販機ビジネス頭打ちの中で、同社は2006年8月の会社設立以来、売上高は2年連続で約40%増と気をはいている。
「自販機イノベーション宣言」は、こうした一連の施策にさらにターボをかけるべく、同社が社内外にコミットメントを示したものだろう。
まだその具体的な取り組みは明らかになっていないが、「FAN×FUN プラットホーム プロジェクト」なるものが9月から始まっている。キャンペーンのホームページによると、エキナカ自販機 acure<アキュア>を中心に情報発信をおこない、プラットホームで心癒すひとときを演出しますとのことだ。
もしあなたが週5日・毎日5分電車を待つとすると、プラットホームで過ごすのは年間で約22時間。意外と長いことに驚きます。だからこそ、プラットホームがもっと楽しくなれば、あなたの毎日がちょっと楽しくなるに違いありません
う~ん。楽しみだ。徹底した利用者目線。「自販機イノベーション宣言」が今後、どのような展開になっていくのか。その変化を追うだけでも、日々電車に乗るのが楽しくなるではないか。
《プロフィール》
金森努(かなもり・つとむ)
東洋大学経営法学科卒。大手コールセンターに入社。本当の「顧客の生の声」に触れ、マーケティング・コミュニケーションの世界に魅了されてこの道18年。コンサルティング事務所、大手広告代理店ダイレクトマーケティング関連会社を経て、2005年独立起業。青山学院大学経済学部非常勤講師としてベンチャー・マーケティング論も担当。
共著書「CS経営のための電話活用術」(誠文堂新光社)「思考停止企業」(ダイヤモンド社)。
「日経BizPlus」などのウェブサイト・「販促会議」など雑誌への連載、講演・各メディアへの出演多数。一貫してマーケティングにおける「顧客視点」の重要性を説く。
金森努(かなもり・つとむ)
東洋大学経営法学科卒。大手コールセンターに入社。本当の「顧客の生の声」に触れ、マーケティング・コミュニケーションの世界に魅了されてこの道18年。コンサルティング事務所、大手広告代理店ダイレクトマーケティング関連会社を経て、2005年独立起業。青山学院大学経済学部非常勤講師としてベンチャー・マーケティング論も担当。
共著書「CS経営のための電話活用術」(誠文堂新光社)「思考停止企業」(ダイヤモンド社)。
「日経BizPlus」などのウェブサイト・「販促会議」など雑誌への連載、講演・各メディアへの出演多数。一貫してマーケティングにおける「顧客視点」の重要性を説く。
関連記事
・1億本突破!「い・ろ・は・す」はナゼ売れるのか?[2009年9月26日]
・イケメン四天王が狙うのは誰だ?資生堂「uno FOG BAR」のターゲット[2009年9月19日]
・ニューヨーク発セレブご用達のドリンク「グラソービタミンウォーター」は日本に広まるか[2009年9月12日]
・ユニクロ無敵伝説が完成?「+J」で問いかける新しい価値[2009年9月5日]
・人生はバック転だ!…のビジネスモデル[2009年8月29日]
ブックマーク
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
トピックボードAD
有料会員限定記事
キャリア・教育の人気記事