【産業天気図・放送・広告】広告減少の底が見えず。09年度後半は「雨」、10年度前半も「雨」が続く

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  09年10月~10年3月    10年4月~9月

 放送・広告業界の2009年度後半は「雨」、10年度前半も「雨」は降り止まないだろう。大手広告主の業績が振るわない中、広告出稿の減少の底は見えてこない。放送・広告各社ともコスト削減でしのぐ構えだが、低水準の利益が続くだろう。

テレビ局は07年の10月から続くスポット(番組と番組の間に放送されるCM)収入の減少に頭を抱えている。09年4~6月期(第1四半期)の東京地区のスポット出稿額は前年同期比11.9%減と2ケタを超える落ち込みとなった。さらに前08年度と比べて悪化しているのが番組スポンサーの広告であるタイム収入。タイムは半年~1年契約が多いが、広告主が固定費化してしまうのを嫌がり、契約に結び付かないという傾向が強まっている。

後半の底打ちに期待したいところだが、現時点では難しそうだ。下期にかけて企業業績が改善に向かったとしても、それは減収の中でのコスト削減効果による部分が大きい。商品が売れて増収に転じるような状況にならければ、広告需要はなかなか増えないため、当面は苦しい状況が続きそうだ。実際、足元のスポットは減少が続いており、タイムについても10月番組改編のセールスは苦戦している。

10年度前半についても不透明感が強く、回復の期待は薄いだろう。利益確保のために残る方策は大幅なコスト削減のみ。日本テレビ放送網<9404>、TBSホールディングス<9401>、テレビ朝日<9409>は、今10年3月期100億円を超える番組制作費の削減を進める計画だが、それでも広告収入減少の穴埋めは難しい。

もちろん、厳しい環境下にあるのはテレビだけではない。日本経済新聞社が09年1~6月中間決算で8.5億円の営業赤字(前年同期は130億円の黒字)に転落するなど、新聞、雑誌といったテレビ以外のマス広告も不振が続いている。踏ん張っているのはインターネット広告ぐらいだが、4マス広告(テレビ、新聞、雑誌、ラジオ)への依存度が高い電通<4324>をはじめ、博報堂DYホールディングス<2433>、アサツー ディ・ケイ<9747>の大手広告代理店の苦戦は当面続くだろう。

(中島 順一郎)

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