プロ野球「私設応援団」の知られざる世界 年間80試合の観戦と仕事を両立できる方法

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どこにでもいる阪神ファン、どこにでも行くロッテファン――。そんなフレーズがあるのをご存知だろうか。阪神ファンは全国どこにでもその土地のファンがいて、地方球場での開催があると地元の阪神ファンが詰めかける。ヤクルト、阪神、楽天で監督を務めた野村克也氏も「阪神はどこでやってもお客さんを連れてきてくれるありがたいチーム」と評している。これに対し、ロッテファンは首都圏の球場に出没するファンが、首都圏から遠く離れた球場にも出没する、と言われる。

ロッテファンになってかれこれ40年近いというAさんもそんな一人だ。同級生の父親がロッテの選手だったため、小学3年のときにロッテファンになった。当時ロッテが本拠地にしていた川崎球場が自宅から比較的近いところにあったため、よく学校帰りに友人といっしょに川崎球場へ通った。

80試合をリーズナブルに観戦する方法

今では自営業者のAさんも、かつてはごく普通の会社員だったが、今も昔も年間70~80試合程度観戦してきた。会社員だったころは有休休暇を目一杯消化したが、業務上支障を来したことはなかった。ホームゲームとビジターゲームで言えばおおむね半々ずつ。西武ドームはもちろん、北は札幌から南は福岡まで、パ・リーグの球場のみならず、交流戦が開催されるセ・リーグの球場も含め、全国どこへでも都合が付く限り出かけて行く。

Aさんが野球観戦に使っているおカネは年間50万円程度。「ゴルフをやる人よりは、かかっていないと思う」と話す。基本的に外野席観戦で、金額が張る内野指定席には滅多に座らないので、チケット代は1シーズン10万円程度で済む。このほかに交通費と宿泊費がざっと40万円。交通費や宿泊費を安く上げるコツは「格安ツアーを使いこなし、極力新幹線を使わず飛行機の早割を利用すること」だという。

プロ野球の開催日程は、シーズン始めに1シーズン分すべて公表される。チケットの発売時期は多くの場合ゲーム開催の前月になるが、スケジュールはわかっているので、交通機関や宿泊の予約は3カ月前に入れる。雨天中止などでゲームが開催されなかった場合は丸損になるが、「もとの値段が安いので損失はいくらでもない」という。

新幹線は早割の割引率が低いので、新幹線でも飛行機でも行けるところは極力割引率が高い飛行機を使う。外野に通うファンは球場で友人ができる。仲間数人でレンタカーを借りて遠征に行くこともあり、とりまとめ役は持ち回りだ。あの手この手の工夫で節約しているとはいえ、年間数十試合という単位での観戦はそれなりにおカネがかかるだけに、家族の理解があってこそ叶う。

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