プロ野球「私設応援団」の知られざる世界 年間80試合の観戦と仕事を両立できる方法

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残念ながら高橋教授の研究は、応援団に集う人たちがなぜ、フラットな人間関係ではなく、上下関係のある組織を形成するに至ったのかまでは踏み込んでいないが、無報酬かつ強制もされないのに、私設応援団に参加する人たちは、濃厚な人間関係の中で献身的な応援活動に没頭していることは間違いない。

組織で動く私設応援団に対し、外野の常連たちは仲間で動く。都内の金融機関に勤務するBさんが、神宮球場の外野席に通い始めたのはおよそ10年前。仕事で知り合った球団関係者に薦められ、見に行ったことがきっかけだ。

仲間で助け合う外野常連の輪

一人で見に行っても、外野席の常連たちが気軽に声をかけてくれるので、回を重ねるごとに友達が増える。普通なら知り合うチャンスがないさまざまな職業の人と知り合いになるし、ふらりと一人で行ってもそこに誰かしら仲間が来ているので、共にエキサイトできる。「目下のところ野球観戦は最大のストレス解消ツール」だという。

神宮球場は基本的にチケットが取りにくい球場ではないが、中には発売と同時に売り切れてしまうチケットもある。昨シーズンのように、優勝に絡んでくればレギュラーシーズンのチケットでも入手困難になる。ファンクラブ会員が優先的に買えるチケットの枚数も、ファンクラブ特典で付いてくるタダ券の枚数も、グレードによって差があるので、仲間内で分担して様々なグレードに入会する。去年は会費がいちばん安い最低グレードだったから、今年はいちばん高い最上グレード、といった具合だ。

昨シーズンの最終戦や、クライマックスシリーズ、日本シリーズのチケットは仲間内で連絡を取り合いながら確保した。Bさんの年間観戦日数はおよそ50~60試合。セ・リーグは神宮、東京ドーム、横浜スタジアムと6チーム中3チームが首都圏にホーム球場が集中しているので、交通費の負担はパ・リーグ球団のファンに比べると格段に軽い。

都合が付けば遠征先にも行くし、2軍のゲームにも行く。ここ数年、新人や若手の選手中心の秋期キャンプは必ず見に行っている。新人の頃から見守ってきた選手が一軍で活躍し始めると、えも言われぬ感慨に浸ることができる。

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