人工知能の発展は格差拡大に繋がりかねない AlphaGoと最強棋士の対局が暗示する未来

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ディープ・ラーニング自体はかなり前から研究されていたが、急速な発展を遂げるようになったのは2000年代に入ってからだという。アルファ碁を開発したディープマインド社は2011年に設立されて、2014年にグーグルに買収されたというから、開発がはじまってから世界最高峰のプロ棋士に勝つまでの間にそれほど長い年数はかかってないはずだ。

もちろん、今後は、また別の壁に突き当たり、近年のような急速な進歩が続かないという可能性もある。一方で、これまでの様々な分野での技術進歩が統合されて、指数関数的に進歩が加速していくという可能性もある。

工業化によって日本の産業構造が農林漁業といった第一次産業から第二次産業へとシフトし、そしてサービス化によって第三次産業へと移り変わっていく中で、農林漁業の就業者は、1950年の1700万人余りから半世紀余りの間に300万人弱へと減少した。

著しい減少だが、農林漁業の就業者の減少は、高齢者が引退する一方で若い世代が入ってこないという形で時間をかけて進んできた。もちろん農漁村から都市部へと大量の若者が移動したが、農業から追い出されたわけではなくて、より高い所得が得られることに引き付けられて自ら移動していった。

専門的なスキルを持った人も不要になる

これに対して、人工知能の進歩が引き起こす職業の変化ははるかに急速で、変化に巻き込まれる人々には厳しいものになるのではないか。企業の中で長年経験を積むことで磨き上げた技術や能力が、機械の登場によってあっという間に無価値になってしまうということが頻繁におきるに違いない。

これまで機械化によって職を失った人々は、自動化が容易な単純作業に従事していた人達で、専門職や技術職は不足していた。しかし、人工知能を搭載した機械の導入では、事務や技術職の仕事が機械にとって代わられることになる。高度な判断が必要とされる業務でも、人工知能の発展により、短期間のうちに機械化が進むだろう。現在は不足しているとされる高度な専門的スキルを持った人材も、将来は不要になるということがおきる可能性が高い。

新しい仕事も生まれてくるだろうが、変化のスピードは速いため、大きな摩擦が避けられないだろう。日本では、過剰となった技術を持つ人達の再教育や職種の転換が企業の中で行われ、社会的な摩擦を小さくしてきたが、そのような対応だけではとても間に合わないのではないか。企業内で必要とされる労働者の能力は急速に変化していくはずだ。日本の学校教育は知識偏重で時代遅れと指摘されて久しいが、次世代を担う若者が変化に対応していくために、どのような教育を施して行けばよいのかは難しい問題だ。

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