【産業天気図・人材サービス】人材派遣需要は底ばいが続く、政権交代で規制強化リスクも
09年10月~10年3月 | 10年3月~9月 |
人材サービス業界の天気は前回(6月)予想通り、当面「雨」模様が続きそうだ。2008年末には製造業で「派遣切り」が相次いだが、その後、事務派遣、技術者派遣へと伝播し、全般的な需要低迷状態は変わっていない。ただ、いち早く落ち込んだ製造派遣が09年の前半を底に、下期は需要がやや持ち直してくるとみられる。
事務派遣大手のテンプホールディングス<2187>は、内勤社員の残業抑制や求人広告の大幅な絞り込みなどコスト削減効果が想定以上に出て、09年4~9月期は利益面では当初見通しを上回った着地となりそうだ。ただ、需要面では収益柱の一般事務派遣は自動車、金融向けなどで契約終了が続き、新規契約にも動意はみられない。あわせて専門事務やIT技術者での派遣も一段と厳しくなるとみられる。通期では期初見通し通り減益で終わりそうだ。
また同じく大手のパソナグループ<2168>も、一般事務派遣、人材派遣は厳しさが続くとみている。福利厚生代行が健診予約等で大型案件受託し一段増となり、募集費減も効くため営業益は底打ちが見込まれる。
技術者派遣最大手のメイテック<9744>は、今期初来、自動車、家電とも開発投資の抑制が響き、新規受注は急落している。契約終了も相次いで、今10年3月期は売上高が大幅に縮小する見通しだ。未稼働技術者の業績給のカットや採用コスト減があっても営業赤字転落は免れない。ただ営業外の雇用調整助成金収入で経常赤字幅は均衡圏近くまで縮小するとみられる。
一時は業界最大手だったラディアホールディングス<4723>は技術者派遣に特化して生き残りを狙うが、09年6月期末で220億円弱と2期連続の債務超過となり、10月29日に上場廃止となる見通しだ。また、私的整理にあたる事業再生ADR手続きの申請で100%無償減資を実施、債権放棄を要請し3年内の債務超過解消を目指す。
さらに、事務派遣など登録型派遣の原則禁止、製造派遣の禁止を掲げる民主党が与党となったことにより、今後派遣業への一定の規制強化が行われることは必須であり、業界にとってはマイナスインパクトが見込まれる。
(風間 直樹)
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