パナソニックが三洋買収でやきもき、長引く独禁法の審査
パナソニックによる三洋電機のTOB(株式公開買い付け)が難航している。
両社が資本提携を締結したのは昨年12月。3月には子会社化に向けてTOBに着手する見通しだった。だが2社でほぼ寡占状態のハイブリッド自動車用ニッケル水素電池などをめぐり、各国の独占禁止法審査が長期化。当初計画から大きくずれ込んでいる。
7月末には「9月までにTOBを終えるよう取り組んでいる」(パナソニックの上野山実取締役)、「審査は第4コーナーに差しかかった。9月にはやりたい」(三洋電機の前田孝一副社長)としていたが、この目算も狂った。
現在、11カ国・地域のうち、審査をクリアしたのは7カ国・地域。依然として日本、欧州、中国、米国など重要地域が残されている。8月31日に両社は、TOB時期を10月末までに発表すると修正したものの、それまでにすべてを終えるかどうかも不透明だ。
とはいえ、独禁法審査が暗礁に乗り上げているわけではない。焦点とされていた米国のハイブリッド自動車用ニッケル水素電池は審査の峠を越え、残るは業務用製品など細かな製品分野となっている。
「いろいろな手段で何としてもTOBをやり切る」とパナソニックの意志は固い。いざとなれば重複事業の撤退や譲渡も選択肢に入れ、審査を通過させる覚悟という。
三洋電機の大株主3社も、TOB応募への方向性は不変。大和証券SMBC、三井住友銀行の2社は、すでにパナソニックとTOB(1株131円)に応じる個別契約を結んでいる。ゴールドマン・サックス証券は個別契約こそ結んでいないが、三洋電機に送り込んでいた役員2名が7月に引き揚げるなど、子会社化後を見越している。