マイナス金利の本質を知らない人は損をする ビジネスマンが「経済学」を学ぶ意味

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いくら新聞やニュースを一生懸命追っていたとしても、表面的に流れる日々の経済ニュースをただ漠然と眺めているだけでは、その本当の意味を理解することはできません。いつまでたっても、「経済ニュースに詳しい人」で終わってしまいます。

「株が上がった」「あの企業の業績がいいらしい」「米国が利上げをした」……そういった断片的な情報だけでは、その先を予測することもできませんし、そのニュースが自分にどうかかわってくるのかもわかりません。

では、ビジネスに必須の「経済学的思考」とはどんなものなのでしょうか?

経済学、そして経済学的思考のいちばんの特徴は、物事を相対的にとらえるところです。経済学では、明白な正解がないことが多くあります。なぜなら、場合場合によって、あるいは想定している状況の相違によって、結果(あるいは正解)が左右されるからです。

また、ある現象の表(目に見える効果)だけでなく、裏(目に見えない効果)をもすべて考慮して、何がその状況に対する最もその適切な対処法となるのかを、経済学のロジックを用いて、総合的に考えます。

大学で学生たちを教えていると、彼らの多くが、大学に入って最初にこのことにショックを受けます。

受験戦争を勝ち抜くには、決まった時間内で正解を導き出す必要があります。東大生は、こうした正解のある問題を効率よく答えるのは、とても得意です。長い間、問題には答えがあるのがあたり前で、その答えをいかに導き出すか、その訓練をしてきたわけですから。だから、いわゆる「優等生」であればあるほど、その傾向は高まります。

ですが、経済学の勉強では、その常識が通用しないことが多い。決まった正解がなく状況次第で正解が変わるのです。これが経済学を身に付ける際の最も難しいところであり、また同時に面白いところと言えるでしょう。

「マイナス金利」の本質を知らないと損をする

こうした経済学の基本が理解できれば、ニュースの「本質」を見極めることができます。そうすると、日経新聞でも、ウェブのニュースでも、ワイドショーでも、日々あらゆる情報を取り入れるのがとても楽しくなります。

最近では、マイナス金利が話題になっています。銀行の預金すると、利息がもらえる代わりに手数料を取られてしまうので、どこにもおカネを預ける先がないと心配になる人もいるでしょう。確かに、その限りでは庶民にも冷たい政策のように思えます。

しかし、経済現象には必ず「表」と「裏」があります。おカネを貸すのが損になれば、おカネを借りるのは得になります。

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