マイナス金利の本質を知らない人は損をする ビジネスマンが「経済学」を学ぶ意味

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しかし企業にとってみれば、いくらフルタイムで働く正規労働者を高い賃金でたくさん雇用しても、採算が取れなければ、倒産してしまいます。

また、非正規労働者を法律で規制して、正規労働者に振り替えるように強制すると、実は弊害も出てきます。それで正規労働者になった人は得かもしれませんが、企業が新規の雇用に慎重になるので労働市場の流動性が失われ、失業している人にとってはかえって職探しが厳しくなります。

企業が好調な業績を長期的に確保できる見通しがあって始めて、雇用環境は改善します。ここでも、マクロ経済動向が重要です。

社会的弱者の人に政策的な配慮をするのは、当然望ましい。このことに異論を唱える人はいないでしょう。問題は法律でそれを強制したからといって、それで事態が改善するとは言えないという点です。

借り手に得に見えて「損」な賃貸契約

あるいは、家の賃貸契約。

現在の法律(借地借家法)では、借り手の権利がかなり手厚く保護されています。貸すほうは正当事由がないかぎり、借り主を追い出すことができません。いったん契約すれば、借り手が家賃をキチンと支払っているかぎり、借り主はほぼ永遠にその家に居住することができます。たとえ、貸し手がその家を改築したいとか、自分で住みたいとか思っても、今の借り手が同意しないかぎり、今の借り主との契約を終わらせる(追い出す)ことは事実上不可能です。

これは、すでに借りている人から見れば、安定的に借りられるので、こうした権利保護メリットで、「いい話」に思えます。

しかし、こうした状況では、貸すほうも、借り手を慎重に選ばざるを得ません。

たとえば、学生や若い単身者など、短期間で引っ越す確率の高い人なら、安心して貸そうとしますが、子持ちのファミリーや高齢者などは、そう簡単に引っ越ししないので、貸したがらなくなります。

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