コロムビアミュージックエンタテインメント取締役名誉相談役・廣瀬禎彦(Part3)--孫さんは、当時から負債さえも大事な資産だと思っていたのかもしれません

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--ゲームといえば「ドリームキャスト」の話は避けて通れません。敗因は何だったのでしょう。

ゲームビジネスを考えたとき、ハードウエアの性能だけを見ていたらダメなんです。ニンテンドーでさえ「ニンテンドー64」はダメになりました。ファミコンの時代からDSのいまに至るまで、売れるゲームは性能的には“ちんけな”マシーンなんですよ(笑)。

セガもハードにこだわらず、ニンテンドーを追いかけているときは良かったんです。ところが、グラフィックスを売りにした「プレイステーション」が出てきて脚光を浴びました。「ドリームキャスト」も絵柄を意識してハードにこだわったのですが、3DCGの部分でコストが高くなり、採算がとれなくなってしまったんです。3DCGのエンジンが速くなればなるほど、画像を作る描写作業が増えます。ゲームソフトの値段は決まっていますので、開発費が上がると本数が売れても利益が出ません。

さらに、高性能ゆえに生産性を維持するためのサポートソフトも必要になりますが、本体を作るのに一生懸命なので、サポートソフトができるまでタイムラグが出てしまいました。

一方、ニンテンドーは一昔前のテクノロジーでモノを作っていて、ゲームは絵柄でなくファンタジーだという発想でやっています。制作コストが少なくサポートソフトもいらないので、本数が売れれば利益が出やすいんですよ。ハードにこだわらず、サービス全体を見ているゲームは成功します。

(写真:鈴木紳平)

ひろせ・さだひこ
 1969年慶應義塾大学工学部を卒業、日本アイ・ビー・エムに入社。凄腕営業マンとして数々の受注を獲得し、宣伝部長、事業部長を歴任し、アスキー常務取締役に転身。同社専務から、さらにセガ代表取締役副社長、アットホーム代表取締役社長に就任しネット業界を牽引。2004年1月には、コロムビアミュージックエンタテインメント代表執行役兼最高経営責任者(CEO)に就任。09年5月に同社取締役名誉相談役に就任。

■CEOへの道は、エグゼクティブ向けの人材会社・リクルートエグゼクティブエージェント主催のセミナー「Road to CEO」との連動企画です。

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