コロムビアミュージックエンタテインメント取締役名誉相談役・廣瀬禎彦(Part3)--孫さんは、当時から負債さえも大事な資産だと思っていたのかもしれません

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コロムビアミュージックエンタテインメント取締役名誉相談役・廣瀬禎彦(Part3)--孫さんは、当時から負債さえも大事な資産だと思っていたのかもしれません

■CEOへの道は、職業としての”社長”を選び、第一線で活躍するプロによるトークセッション。将来、経営層を目指すオーディエンスに、自らの経験とノウハウを語る。

--当時、ヤフーの件など、ビジネスにおいて孫正義さんと西さんのバトルがありました。結局、いま孫さんが生き残っています。孫さんが生き残った理由はなんだと思いますか。

孫さんは、非常に泥臭いことをやってきています。おそらく彼の中には、いくらいいソフトを作っても、「流通」で世の中に広めなければダメだという発想があると思うんです。

たとえば、01年にブロードバンドインターネットを始めたとき、すでに光ファイバーの話がありました。有線の宇野さんは自ら会社を作ってでも光ファイバーだとおっしゃっていましたが、孫さんはいちばん手に入りやすいADSLを選んだんです。

なぜ今どきADSLなのかと思いましたが、テクノロジーとしては最適でないにしても、ブロードバンドを広めるための流通サービスという観点からすれば最適な選択だったんですよ。

今回のソフトバンクも、携帯電話のテクノロジーではなく、携帯電話のサービス流通というところに視点があるんですね。ボーダフォンの技術だけでなく、お客様1人当たりの価値を計算していたのでしょう。料金体系なども流通的な発想で作られています。

われわれはPL(損益計算書)の発想で毎月ごとの売り上げと損益で考えてしまいますが、孫さんは獲得した携帯電話の契約者をアセットだと思っているのではないでしょうか。一生の“ライフタイム”で考えれば、2~3万円の先行投資は十分回収できます。最初は誰もが「ソフトバンクはいつ潰れるか」なんて言っていましたけど、ひょっとしたら孫さんは、当時から負債さえも資産だと思っていたのかもしれません。

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