コロムビアミュージックエンタテインメント取締役名誉相談役・廣瀬禎彦(Part3)--孫さんは、当時から負債さえも大事な資産だと思っていたのかもしれません

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--孫さんは一時期、高速道路の料金所のように現金が落ちていく関所的なビジネスがいちばん効率がいいとおっしゃっていました。いま、廣瀬さんがおっしゃったアセットの発想ですよね。

そうですね。完璧な流通発想の中でお客様をアセットだと考えるのは、昔のデパートにも似ています。デパートの外商はお得意様を大事にしました。

--ソフトバンクCMの白い犬は、若手社員が冗談半分で挙げた案だったそうです。普通だったら、社長に見せる前の段階で却下になるような企画ですよね。孫さんは現場の会議に出ているので、孫さんが気に入って即決定となったらしいです。

現場の会議に出るのは、社員教育ですよね。社長のものの見方や決め方がわかるじゃないですか。私も出るようにしています。ただ、私の顔色を見て現場が決定をくださなくなってしまうことが弊害です。

孫さんの場合は、彼が採用した人たちと仕事をしているので、すべて彼自身が決めたことを社員に伝えていけばいいわけです。私のように既存の組織に入った場合は、既存のカルチャーの中でいかに現場に委譲できるかが課題です。

--現在は既存のカルチャーがある場所で活躍されていますが、アットネットホームはご自身で立ち上げられたんですよね。99年にセガからネットサービスへ移られた経緯を教えてください。

セガにいた当時、ゲーム機の差別化を図る方法は、インターネットとくっつけることでした。「ドリームキャスト」のときにやってみたのですが、反応が遅いので遊べるゲームが限られてしまったんです。いちばんやってみたい格闘ゲームができないんですよ。スピードが速くなければ面白くないし、普及させるためにはスピードアップが必要なんだと思いました。

当時、スピードの速いインターネットサービスといえば米国アットホームだったんですね。ちょうどアットホームが日本に進出しようとしていましたし、今後ゲームに限らず高速インターネットサービスが大事になるから、ぜひやらせてくれないかと申し出てOKをもらったんです。

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